土平木艮

オーケストラ!の土平木艮のネタバレレビュー・内容・結末

オーケストラ!(2009年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

あらすじ…ボリショイ交響楽団の元指揮者・アンドレイが主人公。ブレジネフ政権時代に団員のユダヤ人演奏家をかばった為に解雇され、今は劇場で清掃員。団員の入れ替わった今の楽団のレベルの低さを嘆いている→支配人の部屋を掃除中、パリのシャトレ座から出演依頼のファックスが届く。公演を断られたLAフィルの代わりの出演依頼→アンドレイ、かつての団員を集め、今の楽団になりすましてパリで演奏をすることを思いつく。公演は二週間後。『サクラ派遣業』を営む妻イリーナも応援→元団員で友人のチェリスト・サーシャに計画を打ち明ける。反対されるが計画開始→フランス語を話せる交渉役がいないので、かつて自分を破滅させた共産党員で元楽団支配人のイヴァンに仕方なく依頼。パリで共産党再興をもくろむイヴァンは引き受ける→シャトレ座の支配人との交渉で『演目はチャイコフスキーのバイオリン協奏曲、ソリストは若手のアンヌ=マリー・ジャケ』に決定→シャトレ座からの依頼に、アンヌ=マリーのマネジャー・ギレーヌは何故か難色。でもアンヌ=マリーはアンドレイやボリショイとの共演を喜び出演承諾→アンドレイ、二週間で『団員』を集めなくてはいけない。ブランク30年の元団員達を探し出す→問題続出【❶出演料は後払いに。旅費他諸々の費用を捻出する為にスポンサー探し→サクラとして出席していたロシアンマフィアの披露宴で、音楽好きな富豪にスポンサーになってもらう】【❷旅券もビザも無し→ロマのバイオリニスト・ワシーリーに依頼。空港で偽造パスポートを作成】【❸楽器が無い→これもワシーリーが現地調達してくれるコトに】なんとかパリへ出発→パリ到着。ホテルに着くと団員たちはギャラを要求。受け取るとそれぞれ勝手に出かける→翌日、アンヌ=マリーも参加してのリハーサル。来たのはチェリストのサーシャだけ。イライラするアンヌ=マリー。『サーシャの無伴奏チェロ組曲の演奏』『楽器を持ってきたワシーリーの、パガニーニのカプリーズの即興演奏』で何とかアンヌ=マリーの気持ちを繋ぎ止める→結局リハーサル無しでのぶっつけ本番に→アンドレイ、アンヌ=マリーとディナー。音楽について話がしたいアンヌ=マリーに、アンドレイはかつて自分が指揮をしていた頃の事を話しをする。『レア』という今は居ないバイオリニストがアンドレイにとっても今回の演目にとっても『重要な存在』らしい。アンヌ=マリー『自分はレアの代わりではない』と出演をキャンセル→アンヌ=マリーを訪ねるサーシャ、『一緒に演奏会をすれば両親が見つかるかもしれない』と意味深な発言。その場にいたギレーヌは動揺→ギレーヌ、『嘘をついてごめんなさい』という手紙と、レアの残した楽譜を置いて出て行く。たくさんの書き込みがされた楽譜を読みアンヌ=マリーはシャトレ座へ→団員たち、『レアのために戻れ』というアンドレイからの携帯メールにより、開演ギリギリで全員集合。ぶっつけ本番のコンサート開始→出だしはグダグダ→アンヌ=マリーのソロパートで『レアの演奏』の記憶を蘇らせる団員達。素晴らしい演奏が繰り広げられる(→レアは、アンヌ=マリーの母親だった。アンドレイがかばおうとしたユダヤ人演奏家の一人で、夫婦で収容所に送られた模様。赤子を友人であるアンドレイとイリーナ夫妻に託し、極寒のシベリアで『チャイコフスキーのバイオリン協奏曲』を演奏する事を思いながら死んだ模様。赤子は知人の音楽関係者・フランス人のギレーヌに託されパリへ。そして現在→)→コンサートは大成功、追加公演、その後のワールドツアーも決定。みんな幸せそうな様子でハッピーエンド。



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存在すら知らなかった作品。近所のGEOで偶々見かけて借りてみた。

結果…『序盤…グダグダだな』→『クライマックス…泣ける』。

ハートフルコメディ、ヒューマンドラマを期待してた。

始まってすぐ『想像以上にコメディ色強めだな』と感じる。しかも、そのコメディが『ビミョーな線』。
◎ロシア人描写が『遅刻するのが礼儀』『外国で胡散臭いビジネスをする』『自分勝手で協調性無し』だとか、今の世情的にタイムリー(?)な『ガスの供給を止めるぞ!』の脅し文句、等々。
◎パリのレストラン(?)のアラブ系店主が、払いの悪い客を『俺はアルカイダだ!』と恫喝する場面。

…等々。なので、『何かイマイチだな』と感じてしまった。


だけど、クライマックスのコンサート途中、アンヌ=マリーのソロに、アンドレイはじめ団員たちが過去を思い出す場面あたりで少し泣けてしまった。

最終的に『帳尻を合わせる』感じの作品。そして、基本『コメディ』。


『30年のブランクがあって、リハーサルも無しで、そんな上手く行くはずないだろ』なんて、物凄いツッコミどころがあるのは間違いない。

そこに目くじらを立てず、大らかな気持ちで観れば、心温まる作品として楽しめる。



⚫︎主演のアレクセイ・グシュコブが、知り合いの社長に似てたので、妙な親近感を感じながら観てしまった。

⚫︎メラニー・ロランが綺麗だった。

⚫︎追加公演・ワールドツアー決定の件で、『東京も開催地に入ってた+毎日新聞の記事で紹介されてた』演出が、日本人としてはチョット嬉しかった。
土平木艮

土平木艮