Kumonohate

レバノンのKumonohateのレビュー・感想・評価

レバノン(2009年製作の映画)
4.1
監督自らがかつて従軍したレバノン内戦において、4人の若い戦車兵の置かれた極限状況が描かれる。全編が戦車内部での出来事と照準を通してモニターされる外部の様子だけで表現される。戦闘の全体状況がわからないままに最前線に放りこまれ、周りで何が起きているのかわからないままに戦わざるを得ない兵隊たち、そうした心理状態を描くためのこの大胆な手法にまず驚く。だが、最も戦慄するのは、こんな訓練もされておらず覚悟も出来ていない兵隊によって戦争が行われているのかという事実。いや、例え訓練を受けていたとしても、極限状況下では、指揮系統が崩れパニックを起こし思考停止状態に陥るのかもしれない。つまり、特に市街戦において、冷静に敵味方を判別し、非戦闘員を巻き込まない戦争などあり得ない、ということではないだろうか。
Kumonohate

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