なんというべきか。腑に落ちない。最後は力づくで落としていった。しかし振り返れば、実はそれは技巧的だったと。
正直前半(ほぼ後半も)までは、このままだと不満ばかりだと思って観ていた。ターゲットに共通点は見えず猟奇的なばかりの事件、間に挟まれる話が変わったのかと錯覚する刑事の話、一向に解決を見せぬ監禁状態・謎のその形態。
しかし、最後の15分。彼こそデウス・エクス・マキナなのだとばかりに立ち上がり全ての考察をなぎ払う男により物語は終幕。かのように見えて、実はしっかり伏線は貼られていた。騙された。悔しい。
死にかけの病人が殺人鬼。その動機は、明らかになっても突飛ではある。ただ実際、大病人である僕はすぐ死にたいなどと吐かす輩は大嫌いであり、贅沢者と思っている。その点気持ちはよくわかる。しかし不倫などがそうかといえば難しい所である。逆にその意味不明さも、彼の(或いは脳腫瘍の?)恐ろしさに説得力を持たせているのだろう。