てんさん

25時のてんさんのレビュー・感想・評価

25時(2002年製作の映画)
3.5
感じる罪の意識はどちらが重いんだろう。
実際に悪事を行った人と、それを知りながら見て見ぬふりをしていた人。

この感情には身に覚えがあるなと。
自分に罪の意識があるから、それを認めたくないから、他人のせいにするんだと思う。
「悪いのはあいつ」だと、それが真実だと自分に信じ込ませたいからあえて”言葉”にするんだなぁ。

自分は、人間関係は「メリットの法則」に基づいているという考えを大事にしている。
人は潜在的に、必ず自分にとって得がある選択を選ぶようにできているらしい。

「大切な誰かを守って代わりに死ぬ人」の潜在的な心情は、「大切な人がいない世界を1人で生きる自分に耐えられない」からなんだと。
「ボランティアや寄付をする人」の潜在的な心情は、「人の役に立っているという幸福感を享受したい」からなんだと。

誰かの生き方に「それは間違っている」と口を出すことは思った以上に難しい。
それが親しい人ならなおのこと。なぜならその生き方をしているその人にメリットを感じて、自分は近づいているから。

親しい人の生き方に口を出すことはむしろ「自分との闘い」なんだなと思った。
その人を変えることで自分が失ってしまうものがあって、それを受け入れる覚悟こそが求められているんだな。

世の中の事象で繋がっていないものなんてひとつもなくて、何事も常に「自分との闘い」。
これは大変大変、つらい事実ですね。
どんな出来事からも逃げられなくなる。

そして冒頭のトリビュートインライト。
なんで?と思って調べたらそういうことなのね。
この映画は人間関係の話かと思いきや、国家間や民族、思想の話。想像の何倍も深い。
てんさん

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