ゆみモン

愛と死の記録のゆみモンのネタバレレビュー・内容・結末

愛と死の記録(1966年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

吉永小百合と渡哲也の大人恋愛映画『時雨の記』を観て、それより30年以上昔にやはり二人が恋人同士として共演した本作を見つけて鑑賞。

なんとも悲しく切ないストーリー。
広島弁がいい。
この作品でも、渡哲也演じる男が病で先に亡くなってしまう。

幸雄は被爆による白血病を患っていた。快復したかに見えて印刷工場で働き、和江と出会い交際をする。
幸雄の親代わりである岩井は、原爆病院の医師と知り合いであり、幸雄の病気が完治するものではなくいつ再発悪化するかわからないことを知っていた。だからこそ、和江との交際を応援できずにいたのだ。
幸雄が再入院。家族の反対を押し切って和江は必死に看病する。しかし、幸雄は命尽きてしまった。

ヒロシマやナガサキには、同じような人たちがたくさん存在していた。私は、昭和40年代を広島市内て過ごしたので、同級生の親御さんや学校の先生に被爆者が数多く居た。それぞれ症状や病状は異なるが、結婚や出産を諦める人は多かっただろう。

幸雄が亡くなったところで物語が終わらず、その後の和江の生活が描かれていて良いと思った。…が、和江は幸雄との思い出を胸に前を向いて生きていく…のではなく、服毒自殺してしまった。
まだまだ先の長い、一度きりの人生だが、二十歳の和江にとっては幸雄との愛が全てだったのだろう。