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神経衰弱ぎりぎりの女たちのakrutmのレビュー・感想・評価

神経衰弱ぎりぎりの女たち(1987年製作の映画)
4.5
恋人で妻子のある男性に突然別れを告げられた声優のペパが、思い悩んで彼を探し求める過程で巻き込まれていく騒動をコメディタッチで描いた、ペドロ・アルモドバル監督のドラマ映画。

国際的な名声を得るきっかけとなった作品であり、ペドロ・アルモドバル監督の最高傑作のひとつと言われている。本作以前のアルモドバル作品は話の内容よりはセックスやドラッグなどの過激な描写が売りであり、良く言えば時代を先駆けた前衛的な映画、悪く言えば一部のマニアにしか好まれないようなアングラ的な映画だった。これに対して本作は、強烈な個性を持つ登場人物たちという彼の個性を上手く活かしつつ、過激な描写ではなく巧みに練られた脚本・ストーリーテリングによって鑑賞者を魅了する作品に仕上がっていて、個人的にも好きな作品。

・主役ペパを演じているのは、初期のアルモドバル作品常連のカルメン・マウラ。彼女が最も輝いているアルモドバル作品で、本作でゴヤ賞主演女優賞を初受賞している。(トータルでは、ゴヤ賞主演女優賞3回、助演女優賞1回)

・ペパの恋人の息子役は、これまたアルモドバル作品常連の、若きアントニオ・バンデラス。今の彼からは想像できないような、ちょっと変わった優男を演じている。

・ペパの恋人の息子の婚約者を演じているのが、ペドロ・アルモドバル監督にスカウトされ、本作が本格的なデビューとなるロッシ・デ・パルマ。でも本作では彼女のインパクトを出し切れていない。

・ペパが住んでいる高級アパートメントの部屋の散らかり方、広いバルコニーで飼っている鶏やアヒル、絵による背景など、セットの芸術性も見どころ。
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