koss

ヨーク軍曹のkossのレビュー・感想・評価

ヨーク軍曹(1941年製作の映画)
3.3
ハワード・ホークスは本気で戦意高揚映画として撮ったのだろうか。どうしてもコメディとしか思えない。当時40歳のゲイリー・クーパーは、アルヴィン・ヨーク本人の希望というが無理がある。出征までのいやに長い前半に散りばめられる不良から信仰者への改心、家族、恋、射撃術、良心的兵役拒否。この前半が戦場の緊迫感にはつながらない。

ようやく出征の後半では、愛国心と仲間への奉仕が主題となる。入営してすぐに射撃技術が認められと、いきなり伍長になり、戦場ではスーパーマンな活躍で130人超の捕虜を捕らえる。実在の人物の伝記であるが、出来過ぎの物語で、現実感に欠ける。

第二次大戦への参戦前夜の時代に、前大戦の英雄を初めて映画化して、映画賞を与え、映画はヒットし、志願兵の増加に貢献したのだろう。だが、ホークスは納得して受けた仕事だろうか。出来過ぎ物語を緊迫感なく急ぎ足で描くホークスは、大義名分の裏で舌を出す、戦争と市民のコメディとして撮ったとしか思えない。
koss

koss