静かで重厚な映像がとても好みだった。
精神を病んだ犯罪者が収容される島の施設で一人の女性が失踪し、捜査のためにふたりの連邦保安官が送り込まれる。
島へと向かう冒頭からすでに不吉な予感がしていたが、絶えず漂う緊張感に引き込まれた。
自分の精神状態が正常であるか、他人が話す内容は信用できるものなのか、それを判断するのは他ならぬ自分であるが、その基準が少しずつ揺らいでいくというのはどれほど恐ろしいことか。
主人公や島側の人間への印象が二転三転変わり続け、結局のところ初めに信じていた筋のまま進んでほしい…と願ってしまい、人は自分の見たいものしか見ようとしないのだとつくづく痛感した。
この重厚感と、静かに心の奥深いところを突き刺されるような展開と結末がたまらなく好きだった。本当に素晴らしい作品で、最初から見返したくなるような伏線や意味深なシーンもかなり多かったけれど、もう一度観る気にはなれないくらいに落ち込んでしまった。
深みのあるディカプリオの演技にも改めて感動し、他の主演作も全て観たくなる。でも、彼が幸せな人物を演じている映画ってあるのか…?ともあれ今秋の新作も一段と楽しみになった。