このレビューはネタバレを含みます
連邦保安官のテディが相棒のチャックと共に、孤島にある精神病院を訪れる。
ふたりは病院から忽然と姿を消した女性をふたりは追いかけていくが、そこには秘密が隠されており、次第に翻弄されていく。
映画の序盤から小さな違和感が散りばめられており、徐々に何かがおかしいと気付けるが、最後まで展開が読みづらく、楽しんでみることができた。
作中ではテディの実際に経験している事実と作り出した幻想が入り交じるのだが、整合性を保つように幻想を作り上げる様子は、実際の精神疾患を追体験しているようで興味深かった。
ラストでは受け止めるには重すぎる現実を前にして、ロボトミー手術を受けることで逃避する選択をするが、テディの心中はどのようなものだったのだろう。
楽しかった記憶ははるか昔に去り、現実を上塗りする人生に疲れ切ってしまったのだろうか、最後の覚悟を決めたような表情が印象的だった。
別の映画にはなるが、メメントでは現実から目を逸らし、虚構にとどまり続ける選択をしたのと対象的だなと思った。
メメントのいつかは破滅に向かうんだろうなという予感と比較して、こちらは何はともあれこれでおしまいという感じがした。
じっくり腰を据えて観るのにオススメの一本。