ハンコ課長

アメリカン・ヒストリーXのハンコ課長のレビュー・感想・評価

アメリカン・ヒストリーX(1998年製作の映画)
3.9
映画とは"人の変化や成長を描くモノ"と、よく言われますが、その意味ではこれ以上無いくらい素晴らしい映画だった。

まず兄に関して、ナチス信奉者でとことん尖っているが、吹っ切れていて正直カッコいい!特に刑務所に入るキッカケになった事象の描写は見事で、ある意味アクション映画のような爽快さが見受けられる。

そんな彼も昔起きたある不幸な出来事をキッカケに極端な思想に走って行くのだが、多分自分が同じ状況に巻き込まれたなら、同様な道を歩んでいただろうなという説得力がある。

そして上手いのが食卓でのシーン、最初に母の新しい恋人を交えて怒涛の議論と喧嘩を描いておいて、
その後に時系列としては前の、父親との温かい団らんを持ってくる。
ストーリー構成で時間軸を遡ったりすることの効果をこれ以上なく活かしている。
「あ、こういうキッカケがあって、今ここに至るんだな」
という悲壮感が絶妙だ。

肝心な刑務所での生活も丁寧に描かれていて、激しい憤りや暴力を経て、ついに洗濯係の相棒と打ち解ける過程には心を動かされた。

恩師の「若いころは何もかもに怒っていた。だがそれによって何も変わらなかった」というセリフが沁みる。

ラストは唐突で驚いたが、それでも充分楽しめた!
ハンコ課長

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