このレビューはネタバレを含みます
「怒りにまかせるには人生は短すぎる」
デレクによってダニーの心に届いた言葉は、ダニーを失ったあとのデレクに再び届いたのだろうか。
更生の道を歩もうとして我慢に我慢を重ねても歩んでいても、愛する人を攻撃されるほどの怒りを我慢できるのだろうか。
デレクは出所後にキャメロンをぶん殴った。
愛するダニーを守るために。
その彼があれほどの惨劇を目の当たりにして我慢できたとは、残念ながら思えないんだよな。
KKKからブラック・ライヴズ・マターを経て、現在に至る。それがアメリカン・ヒストリー。
もっともアメリカだけの問題と言えるものでもない。ワールド・ヒストリーでもあり、ヒューマン・ヒストリーだと思う。
デレクがアメリカン・ヒストリーを体現している者として描かれているならば、
ダニーのレポートは、デレクの心に届かぬ手紙になってしまったような気がしてならない。