皿と箸

パプリカの皿と箸のネタバレレビュー・内容・結末

パプリカ(2006年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

良いか悪いかは別としてすごく好きな映画でした。

常に一つの概念が生まれるということはまたもう一つの概念が生まれるということであるけど、([表層]があるという事は[深層]があるというように)現実に生きる人間にとってそういった概念は常に流動的であり、時に矛盾し、パラドックスを起こす。

そういった囚人のジレンマの様に一見最適な答えを出したつもりでも、非合理に陥ってしまう状況に対応するために人間は意識を無意識化する。

それは自己防衛の本能でもあると思うけど、いずれその無意識に葬られた意識がキャパシティを超えると、現実の意識に影響を与え、解釈を歪ませるようになる。

この意識と無意識のグレーゾーンが夢であり唯一人間が個人的に無意識にアクセス出来る場所。
無意識に葬られた抑圧された願望や咎の意識を描く上で粉川と言うキャラクターがいる事でわかりやすく機能している。

この映画においてはやりたい事=意識、やるべき事=無意識。
と言うある程度割り切った表現になっている。
やるべき事に気付く為のお手伝いをするのがパプリカなのだけど、同時に主人格が入れ替わるように今度は本来の敦子と言う人格のアイデンティティを失っていた事に気付く。

やりたい事に対して純粋な時田とやるべき事に囚われすぎた敦子。

これは意識と無意識のメタファーであり、初めからそう見るとおそらくもっと面白く観れるのでは?

最終的にはお互いに歩み寄る形で映画という一つの人格が統合していくのだけど、その着地が難解な表現ではなくて単純明快に敦子もまたパプリカによってアイデンティティを取り戻し救済されるという描かれ方がとても良いなと思った。

自分はインセプションと言うよりもピクサーのインサイドヘッドの方が後出の映画においてはわかりやすく近いかなと。
合わせて観るととても面白そうです。
皿と箸

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