三樹夫

ハンニバルの三樹夫のレビュー・感想・評価

ハンニバル(2001年製作の映画)
3.6
前作より10年後、レクターを追うクラリスとレクターを殺したいメイスンの三つ巴の続編。原作はクラリスとレクターが結ばれるという結末であまりにも気持ち悪かったので映画版では結末が変更されている。原作版がなぜこんな気持ち悪くなったのかは、映画『羊たちの沈黙』を観てジョディ・フォスターにトマス・ハリスがガチ惚れして、レクターに自己投影しクラリスはジョディ・フォスターを当て書きにした変態の妄想小説になってしまったのではという説がある。ジョディ・フォスターは『タクシードライバー』観た変態にストーカーされるし、『羊たちの沈黙』に出たら変態妄想小説書かれるしで可哀そうすぎる。クラリスは男性社会のなかで酷い目に合うという女性なのだが、現実世界でもジョディ・フォスターが同じような目に合うという二重構造になってしまった。当然ジョディ・フォスターは降板し、今作ではジュリアン・ムーアがクラリスを演じている。訓練生から10年経ち、色々ハードな現場を経験してタフな感じになったという補完をすればジュリアン・ムーアでもなくはない。

イタリアパートは退屈だし、その後もグダグダな展開が続くという映画ではあるが、顔無しザコ男と頭パカ男の面白おじさん2人が映画を引っ張っている。
冒頭の派手な銃撃戦はそういうことじゃなくない感がある。サイコサスペンスで派手なアクションされてもみたいな。組織内での扱いやクレンドラーの目線など男性社会における女性という要素は一応引き継がれている。
イタリアパートは無能刑事が金目当てでレクターを捕まえようとすると、結末がどうなるか火を見るより明らかなので退屈。それでも金玉カットや臓物ボトボト首吊りの、リドスコ先生のご乱心かみたいな一気にボルテージを上げてくるシーンはある。レクターの生活は上流階級ごっこという感じでダサい。成金が背伸びして送ってるみたいな生活だった。会話にイタリア語混ぜてくるのとか本当にダサいんだよなぁ。ワイン、オペラ、フォアグラ、キャビアみたいなそのチョイスはダサいやろ。
退屈なイタリアパートが終わって以降はレクターVSメイスンのバトルとなるが、レクターは散々イキり散らかしてたがクラリスが来るのが後1時間遅れるか、メイスンが処刑を後1時間早めに行っていれば殺人豚に食われていたし、メイスンは車椅子落とされて終了の映画史トップクラスのクソザコっぷりを見せ、グダグダなバトルを展開して終わり。メイスンは自分で顔の皮剥いで犬に食われたと猟奇すべらない話を持っているが、それを無理矢理クラリスに聞かせる変態ハラスメントをかまして、相変わらずクラリスは男性社会において酷い目に合い続けている。
最後は頭パカ男の脳みそステーキで脳みそアンパンマンショーをぶち上げてボルテージは上がる。一気にボルテージが上がるシーンはあったし顔無しザコ男と頭パカ男の面白おじさんもいるが全体的には盛り上がりに欠ける。

前作では少ない出演時間ながらもレクターのシーンは緊迫感があり印象に残るが、今作ではレクターのシーンこそ退屈と逆転してしまった。レクターの日常って、やってることは『アメリカン・サイコ』のブランド豚連中と一緒だし。
メイスンは薬盛られて気持ちよくなりレクターにそそのかされ自分の顔の皮剥いで犬に食われてさらに首の骨折られて半身不随になったペドフィリアという設定。レクターを殺したいと思っているが、レクターアイテムを収集するレクターを性的に大好きの猟奇アイドルオタクでもある。レクターマスク付けて息がしにくいから外してくれは笑った。
三樹夫

三樹夫