荒野の狼

仮面ライダー×仮面ライダー×仮面ライダー THE MOVIE 超電王トリロジー/EPISODE BLUE 派遣イマジンはNEWトラルの荒野の狼のレビュー・感想・評価

4.0
超電王トリロジーの3本の映画のうちの二番目の作品ですが、独立しており、他の2本を見なくても、ライダーシリーズの背景を知らなくても楽しめる作品。主人公の高山侑子のドッペルゲンガーという不気味な現象からストーリーは始まりますが、全体に明るく、二人登場する高山のどちらが本物かという謎が徐々に解かれていきます(視聴者には、最初は本物がどちらか明かされているのですが、後半からわからなくなってきます)。ユニークな女怪人との対決などライダーシリーズとしての楽しさを残しながら、主題は二組の愛情で結ばれた4人(祖母と孫の高山侑子/幸太郎とパートナーのテデイ)のストーリーを通して、失いかけたり失ったりして、はじめてわかる相手の存在や絆の大切さ。仮面ライダー電王は、デンライナーという、いわばタイムマシーンを使うことで、時間の意味や、失った瞬間を人は取り戻せるのかということを問うてきたシリーズですが、本作品はその中でも白眉。人は往々にして、亡くしてしまった大切な人に対する後悔の思いを背負って生きていきますが、ライダーの幸太郎は、たとえ失ってからでも、“亡くした人の大切さに気づきさえすれば遅くはない“と、限りなく優しいメッセージを伝えます。以下の台詞は金言。”いなくなってからでないと、どれほど大切だったのか気づけない。でも気づいただけでも良かったと思う。いなくなった後だって大切な存在なのは変わらないから。“ 高山の好演は、彼女自身が早くに父親を亡くしているという経験に負うところもあるのではと推察します。
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