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コルドラへの道のjonajonaのレビュー・感想・評価

コルドラへの道(1959年製作の映画)
4.2

その時なにを考えてたの?
ーなにも。

フィルマの皆さんのおかげで知ることが出来た作品です…感謝🙏

一度の行動だけが英雄と呼べるのか。
一度の行動が臆病者を決めるのか。

メキシコの反乱軍との攻防戦が続くアメリカ北軍騎兵隊。未来に控える欧州との戦争のためにと国は希望の御旗になる英雄を求めていた。

戦闘で特に勇敢な行動をした5人の兵士とメキシコに協力したアメリカ人女性と共に、彼らに勲章を授ける名を受けたソーン少佐が戦地を後にしコルドラ基地を目指す。

しかし道中露わになってくるのは、
勲章に値する英雄像とは
かけ離れた彼らの実像だった…

大変よかった。
騎馬隊なので現代の戦争とは様相が違いますが、一筋縄ではいかない戦争のリアルな像をわかりやすく描いて見せてくれている傑作だと思います。


冒頭に戦場シーンから始まるのですが、その時の彼らの行動はたしかに真に英雄的に見える。しかし若いうちに勲章を貰うと出世し辛くなると拒む者。何時頃から支給額が増えるのかと金勘定を始める者。ソーン少佐の過去につけ込み、あげく女を襲う者。殺人から逃げてきて入隊した者まで出てくる始末。
あげて落として地を掘るほど落ちていく彼らの印象とともに、そんな荒くれ者達を妄信的に信じようとしているソーン少佐へも懐疑的な目線を向けたくなる。

ソーンは自分がコロンバスの戦いで線路下の溝に逃げ込んでしまった経験を負い目に感じ、真の英雄とは?と追い求め勲章任命に執心している。


誰一人成熟した人間がいない帰路の道。
道程が人を英雄たらしめる。

一度の勇敢も、諦めきれない執念も
全て含めて人の力になる。
かなり地味目でラストまでは陰気な印象が続くシーンも多い映画ですが、複層的な人物像と戦争像を描ききることで人間賛歌を歌った名作です。
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