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私は二歳のSPNminacoのレビュー・感想・評価

私は二歳(1962年製作の映画)
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久しぶりに観直した。高度成長期に高度成長するターちゃんの視点で見た、両親や大人たちもまたヨチヨチした子どもみたいな、ナンセンスであっけらかんとしたユーモア。メルヘンなアニメーションや合成も洒落てる。ちなみに森永乳業タイアップ。
親である山本富士子と船越英二(なんという美男美女夫婦!)は、団地核家族から郊外の一軒家で2世代同居へと、当時の典型的なパターン。でも、良くも悪くも子育ての日常はあまり変わってない気がする。市川崑の映像感覚も含めて、全然古くならない。しかも人間の生と死を宇宙的スケールまで広げる。なにせ映画の始まりは生まれる前だ。「ターちゃんどこから来たの?」ってすごい台詞だよ。なるほど、松田道雄原作だったのか。
子どもの撮影は巧いこと生身と人形やアップショットを使い分け、それでも「実物」だけが持つ説得力。まんま古い童画か錦絵みたいな顔したターちゃん(まつ毛の完璧な角度!)、1歳8ヶ月児といういきものの大きさと重みよ。役者は子どもと動物には敵わないと言うけれど、二歳児視点だからこそ大人のプロ俳優もまた不思議ないきものとして面白くなっている。
しかし、子どもの愛らしさや生命力と同時にやたら死が出てくる映画だ。みんなして軽く「殺す」だの「死んじまえ」だの言うし。ビニール袋で横たわるカットがホラーでトラウマものなんだけど、ママ友の岸田今日子が言う「死んだの」がもっと怖かった…。ロウソクいっぱいに囲まれたターちゃんもすごいインパクト。でもほんと、そのくらい死と隣り合わせだったんだよね。医者は雑だけど。
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