このレビューはネタバレを含みます
私は本当の森をまだ見たことが無いのだということに気付かされてしまいました。
「皇帝ペンギン」のリュック・ジャケ監督作。映像美はお墨付き。
本作はフィクションの長編ドラマですが、最大の魅力である自然の美しさを余すところなく捕らえていて、ため息が出る映像の連続でした。
自らも深い森の中にいるかのような錯覚。
これを体感するには、やはり大画面のスクリーンで見るのが正解です。
フランス映画は自然を描くのがうまいなあ~。
動物たちはどこからが演技なのか?
それがわからないままに不思議な世界に引き込まれてしまいます。
主人公の女の子の表情も豊かで本当に動物が好きな人の目をしています。
ユニークなのは、姿・気配はあれど、この女の子以外の登場人物が一人も(エピローグ部分以外は)まともに画面に出てこないこと。
世界にこの女の子と動物しかいないかのようです。
映像美ときつねのテトゥの可愛さは文句なく5つ☆。
なのに、なんで評価を下げたのか?
それは物語のラストに原因があります。
この映画のテーマは『自然と共に暮らす』と同時に『野生動物を飼いならすことはできない』ということです。
いつまでも一緒にはいられない。それは初めからわかっていたけれど。
いくらなんでもそれはないでしょう?!という展開に目が点になりました。
かなりショッキングでした。少なくとも私は。
大抵、動物モノって悲劇に作るけど、そういうのとは全然違うんですが・・・。
以下、ほんのちょっとネタバレ気味ですから。ご注意下さい。
森に生きる少女が愛しい動物に対しそれは普通やらないでしょう。ということを唐突にやります。
それは動物の信頼への裏切りでしょう?
女の子の豹変ぶりが恐かったです。すごく残念でなりません。
「愛することと所有することは違う」
そうです、それは、その通りです。でも、違う展開で表現して欲しかった。
優しく、穏やかな気持ちのままで見終わる映画であってほしかったと
私は思うのですが。