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鉄砲安の生涯のmitakosamaのネタバレレビュー・内容・結末

鉄砲安の生涯(1962年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

スカパーにて。これ良い映画だったー!見入っちゃたわ!

粗暴な人力車夫の鉄砲安を勝新が演じている。車夫ということでやっぱり無法松の一生を思い浮かべるね。
でもこちらは実在の人物をモデルにしたそう。

大津事件というロシア皇帝暗殺未遂事件。
ニコライ2世が日本訪問中にテロリストの暴行を受け、救出に入った車夫に勲章と多額の報奨金と生涯年金が与えられることとなる。

元々肉体労働者の車夫で粗暴な安だが、金と名誉が入った安に村人みんなが態度を変え媚び諂う様になる。
喧嘩ばかりしていた幼馴染の千代とは両思いだったがお互い間を埋める事が出来ず、別々に結婚。
安は選挙資金目当ての議員に娘を差し出され、立派な一軒家に住む事になる。

だが日露戦争が始まると、また手のひらを返し非国民だとなじる様になる。
息子と共に国賊扱いされるのに反発し、軍夫に志願するため雪山を超え福井まで移行とする。

雪山というのがまた無法松の一生を思い出す。
途中立ち寄った家が未亡人となった千代の家。息子を残して旅立つ安。本心じゃないのに見送る千代。本当は残って欲しいのに。泣ける。

でも無法松と違い、行き倒れにならない終わり方は一縷の希望もあり救われる。雪山を必死で突き進む安の姿が、無学で無骨ながらも人間の尊厳に溢れていて実に清々しい。
つくづく安と千代が一緒になったら良かったのにと思うが、人生は誠にままならぬ。そんな作品。オススメ!
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