くりふ

007/リビング・デイライツのくりふのレビュー・感想・評価

007/リビング・デイライツ(1987年製作の映画)
4.0
【ボンド15/怒りのアフガン】

個人的(当時)新春企画。

旧いDVDが出てきたので久しぶりにみ始めたら、こんなにわかり易い話しだっけ、とスッキリ一気見してしまった。

確か、社会人になって初めて、自分の財布からチケット買って、元旦に劇場行ったボンド映画。それなりに思い入れあるシリーズNo.15、ダルボン初お目見え作。ムアボン降板後、少し時間置いての登場でしたね。

当時はそれなりにカッコいいと思えたダルトンボンド、改めてみると、こんなにキメ顔連発していたのか、と苦笑してしまった。視線で見得切り過ぎ。オスの匂いをあまり散布させないところは、時代に合っていたとは思う。

全体、世相を意識した仕上がりでした。スッキリトーンもその表れかと。ボンドガールもメスの匂いを抑えた清楚な美人。脱がず、なかなか、しない(笑)。

私はこの、マリアム・ダボさんが当時は好みストライクだったので見惚れましたが。改めて、演技はトホホだとは思っちゃいましたが。女優としては、この後もパッとしませんでしたね。

このヒロイン、カーラはメス薄清楚さんとはいえ、人物としてはただ、男の言いなりになるお人形さん。終盤でようやく自分から行動起こすも、そりゃ火事場になりゃ馬鹿力出すでしょ、という当然展開なので、自立した女としての魅力は皆無。当時、ちゃんと女性ウケしたんだっけ?

でも面白いのは、カーラ視点でみると、まるでボンド映画が女性向けロマンス小説の世界に早変わりしてしまうこと。ボンドが、危険な白馬の王子様、だものね。女性客への狙いはそこだったのだろうか?

敵は、まだ冷戦続いていたのでソ連ですが、ペレストロイカ以降、内部崩壊直前という時期で、KGBの中もゴタゴタしていたのでしょうね。ソ連という箱を責めるより、中の一部を悪役に仕立て叩いている。

KGBの将軍とボンドの関係にも時代を感じますね。まあ、KGBも、MI6の方も、実際はここまでマヌケではないでしょうが(笑)。

が、舞台がある事情でアフガニスタンに移ると、『ランボー3』と同じ脛に傷をつくることになる。

ムジャヒディーンとボンドがねえ…。

まあ、映画で応援メッセージ送っちゃったランボーに比べれば、通りすがりの戦友、みたいなグレーな関係にとどめていますが…。この点、あまり指摘されていないようで不思議。米国と英国じゃダメージが違うか。

しかし、ここまで具体的に、世相を反映させたのはシリーズ初じゃないでしょうか。そこは新鮮でした。この後、ブロスボンの時代以降と比べても、転機となった作品だと思います。

ちなみに本作には、メスの匂いを武器にしたボンドガールも実は、登場しますよね。天然ガス工場の、リングネーム付いてそうなナ、ナ、ナイス…ラージボディなあのお姉?さん。

…あの工場長が羨ましい、と思ったM男が、世界中で007人はいるとみた。

<2017.1.8記>
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