金魚鉢

母なる証明の金魚鉢のネタバレレビュー・内容・結末

母なる証明(2009年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

驚愕の事実とそこから暴かれる人間の本性をバイオレンスな展開で畳み掛けるポンジュノらしさが光る結末。

『身内以外へのよそよそしさ』が色濃く出ていて物語としては見応えがあったが、正直心を揺さぶられることはなかった。まず母親の自ら行動して一矢報いる執念深さは明らかに主役向きな性格なのだが、それが過保護の範疇を越え過ぎているせいか大切な我が子のために奮闘する健気な母親として映る瞬間はない。不法侵入したり我を忘れて殺人を犯したりと息子の無実を晴らすためとはいえ言動が滅茶苦茶すぎて、母親故の歪んだ愛情による狂気というより普通に人間性を疑ってしまうような場面が多かった。

一方で、本作は自分が勝手に韓国映画に対して抱いている「自己を優先するような人物が登場する」という偏見に対してのギャップが少ないことから、日本なら過剰だと思ってしまう描写もそこまで引っかからずに受け入れられる部分は多かった。そのため母親の息子に対してやられたら復讐しろという行き過ぎた教育方針であったり、現場への野次馬のたかり方に関してはある程度受け入れられた。またそういったイメージはある種『人間の欲を暴く』ような題材の多いポン・ジュノ作品との相性の良さを感じた。それでも理解し難い箇所や導入のあたりで腑に落ちないところも幾つかあった。特にジンテが母親に慰謝料を要求する癖に捜査に協力的なところはどうも最後まで気になったし、虫も殺せないとか言われてたトジュンが大きい岩を遠くからぶつけて殺してたのとか諸所に違和感を覚えた。
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