こたつむり

スターシップ・トゥルーパーズのこたつむりのレビュー・感想・評価

4.0
SFの皮をかぶった狼…ならぬ戦争映画。

いやはや、さすがヴァーホーベン監督ですな。
SFの古典『宇宙の戦士』を完全に自分の作風で染めてしまいました。常人ならば古典ということで躊躇するところをフルスロットルで駆け抜けてます。
戦争、時流に流される大衆、何処にでも出没するマスコミ、それらを痛烈に批判している姿勢も冴えわたる一方!映画一本まるまる使って皮肉ってしまうなんて凡人には無理!うほ!己が道を行く姿に痺れますな!

まあ、それでも、さすがに20年近く前の作品ですから、映像的には厳しいところがあるんですけどね。特にパソコン周りの映像は今観るとしょんぼらです。この辺りは脳内フィルター必須であります。

あと、虫が大好きな人、虫が友達な人にもお薦めできませんね。虫を一方的に見下すという姿勢を皮肉的に描いているものの、うひぃと思う映像がありますからね。たとえ正しいメッセージのためでも虐待は気持ちよくは観れませんよね(僕はネコが大好きですから、本作の敵がネコ型宇宙人だったら絶対に観れません。うん。それと同じことです)。

あー。だから、あれですね。皮肉を皮肉として受け取れない方には本作は向いていないかもしれませんね。本作は痛烈な反戦映画だと思うんですけど、そのように観れない方もいらっしゃいますよね。うん。そういう方々には猛烈にお薦めできません。

それにしても。
思い返してみれば、若かりし頃は戦争映画なんて観ることが出来ないピンク色ぷるぷるモチ肌の僕だったのですけれども、本作をきっかけに観ることが出来るようになったんですね。
SFということで敷居が低かったのも良かったのでしょうし、一人の若者が一人前の兵士になるまでを解りやすく描いていたのも良かったのでしょう。

まあ、そんなわけで、戦争映画入門編としては良いかもしれませんが、やはり人を選ぶ映画であることは間違いないと思いますので、ご自身の嗜好に合わせてご鑑賞を。
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