カラン

ハードコアの夜のカランのレビュー・感想・評価

ハードコアの夜(1979年製作の映画)
4.0
カルバン派の家族のもとに、クリスマス休暇で子供たちが学校から戻ってきて、大人たちも集う幸福そうな集いが終わると、悲劇が。娘が行方不明に。父は警察に行き、私立探偵を雇い、捜索する。しばらく憔悴の日々の後で、探偵がハードコアのポルノ映画を観ろと言う。平たい胸の娘がスクリーンで男たちと映っていた。。。



撮影の撮影がどう描写されるのか興味があって観てみたが、どうってことのないポルノの撮影現場というだけであった。しかし余談ではなく、本筋がけっこう面白いのである。

かなり無茶苦茶に思える展開であるが、落ちついている。冒頭はカントリーを流しながら、クリスマスの冬景色をかなり長く映す。ショットは端正で、デヴィッド・リンチの『ツインピークス』のような牧歌的なアメリカであるが、ツインピークスのような異空間には流れない。ポルノの撮影の現場も何度か映り、その社長が「最初は短編のポルノをやれ」と叫ぶのは、実体験に根ざしているのだろうか。最初はポルノって、どこでも同じなのか?キリスト教にもかなり厳しい。ここは監督の実体験と反発であるらしい。

監督、脚本のポール・シュレイダーは、『太陽を盗んだ男』(1979)で有名なレナード・シュレイダーの弟さん。この映画『ハードコアの夜』を観ていて、兄貴よりも映画制作に向いているのではないかと思った。大味ではちゃめちゃな展開になりそうな映画を、かなりうまくコントロールして、物語をしっかりと語っていた。
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