rage30

ハードコアの夜のrage30のネタバレレビュー・内容・結末

ハードコアの夜(1979年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

行方不明になった娘を探す父親の話。

「行方不明だった娘がポルノ映画に出てて、さ~大変!」という映画なのですが、ポルノというモチーフにしろ、父親が敬虔なクリスチャンという設定にしろ、ポール・シュレイダーらしさを感じさせる作品でしたね。

主人公は娘を探す為に、手当たり次第に風俗店を当たります。
70年代のアメリカは性風俗産業が盛んだったとは聞いていましたが、当時の街の雰囲気が伝わって興味深く見れました。
街の到るところにエロが溢れていて、退廃的な世界ではあるのだけど、一方で、店毎にコンセプトが違うのが面白いな~と思ったり。
差別化しないといけない程に、店が乱立していたという事なのでしょう。

風俗店に聞き回っていても埒が明かないと悟った主人公は、覚悟を決めて、ポルノ業界の内側に潜入します。
ポルノ映画の出資者を装ったり、ポルノ映画の監督に成り済ましりと、この辺は意外とコミカルな作り。
そして、ポルノ女優のニキと出会うわけですが、この2人の関係性は、もうちょっと掘り下げて欲しかったですね。
風俗業界を軽蔑していた主人公だからこそ、2人の相互理解を描いて、主人公の成長を見たかったです。

最終的に娘を見つけるものの、誘拐ではなく、自分の意思で家出したと知って、ショックを受ける主人公。
でもまぁ、特に娘が品行方正という描写もなかったし、父親の保守的な性格を見れば、薄々そうなんじゃないかと思っていましたが、当時の親世代からしたら考えられない事だったのでしょう。

正直、娘の事よりも、親代わりを探していたニキの事が気掛かりで…。
どうせなら、彼女も救われて欲しかったのですが、もしかしたら、父親に見つけてもらえなかった娘の未来の姿がニキだったのかもしれないし、父親が娘を見つけた事でニキも消えていったのかなと。
個人的には、そう解釈する事にしました。
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