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地獄の黙示録のfumiyannのレビュー・感想・評価

地獄の黙示録(1979年製作の映画)
4.5
ベトナム戦争という出来事を火種にした精神世界。
時間が先に進むほど涅槃の中にズブズブと体がはまり込んでいくような感覚を覚える。
表面から叩くのではなくて、ゆっくりと内側に入ってから爆発させる様な印象。

途中のベトコンの奇襲のシーンが頭から離れないです。悲しくて。
ベトナム人の労働者は日本で多くて、話をする時間が多いから余計にしんどかった😔

ウィラード大尉の独白により進行するストーリーに、なにか退っ引きならない奇妙な昔話を受け聞いているような、恐怖心に似たものが常に腰を据えている。
特に彼を演じるマーティン・シーンの状況を俯瞰している様な表情が、映し出される異様な光景の大きな支点に。
中盤から感じ始めたのは社会的な側面があるのと同時にその奥は極めて個人的で[精神の内側に向かっている]んだということ。

あと感じたのは例えるなら遊園地なんかでよくある水路を進む船に乗りながら景色が変わっていくアトラクションみたいだなぁと。
流れる景色こそエンターテイメントの対極のようなものだけれど、この映画はあれに近いのかもしれない。
ただそれは映画としてだけではなくて、主人公の視点からみてもそうだったし、それを通過することで彼の心の組成を少なからず変容させてしまったんだろう。

2時間半を1時間半くらいの体感で観ました。
舐め取るようなショットが多くて、動く絵画のように綺麗に流れるシーンがとても芸術的で、吸い込まれるように見入ってしまう。
あまり他に類を見ない異質な映画です。
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