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バビロンのfumiyannのレビュー・感想・評価

バビロン(2021年製作の映画)
4.5
この監督はやはり天才だと、前半の1時間で確信した。
なんだこのテンポの良さは。
またしてもこの表現を使ってしまうけど、、3時間があっという間だった。
「3時間を一番有意義に堪能できた3時間」という方が正しいかもしれない。

カットの入れ方の絶妙さ、繋ぎ、独特の撮り方がそう感じさせてくれる所以なのでしょう。

登場人物の物語が並行していて群像劇のようになっていて、時に交錯する話の作り方も面白かった。

サイレントからトーキーに転換する時期のハリウッド。
当時の映画を巡る人々の繁栄と衰微。

後半ラスト50分ほどはもう心の中では立って見ていました。それほどの物凄い没入感。
ものすごい作品を見てしまったというあの観た後の放心状態は、『セッション』『ラ・ラ・ランド』に勝るとも劣らないものだった。








(以下備忘録メモ。ネタバレ含。)
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・セッションとララランドに共通しているのは「夢追い人の挫折」
・最初のパーティシーンでだいぶ心持っていかれた。
・ジャスティン・ハーウィッツの音楽はやはり良い。「映画を見ているんだ」という気持ちになる。
・長回しの上手さ。ララランドを経て板についている
・ファイトクラブを彷彿させるブラット・ピットの狂気じみた演技
・タイトルバックの演出
・映画を撮る映画を撮っているという撮り方が面白くて痺れた。「ほんとにこんなだったんかよ」という。
・撮影中の槍が飛んできて、その槍についてジャックがダメ出しをするシーン
・チャゼル監督の激しいパンの使用が今作でも随所に見られる。
ジャズを多用した独特のテンポの映像の健在。
・太陽が沈む中での撮影シーケンス。今作中フェイバリットのひとつ。2人の撮影シーンが同時にカットを迎える。
・蛇のとのシーン。面白いが、笑って良いのかどうか些か困惑した
・トランペット奏者シドニーの引きのショット。
・上流階級のパーティで暴れるネリー。
・自分の演技が劇場で馬鹿にされながら観られていることを知るジャック。

・バビロン=「欲望に塗れた街」
その欲望に塗れ具合が本当によく描けている。しっちゃかめっちゃかな状態のハリウッド。

・『雨に唄えば』

・芸術的衝撃のラスト、マーブリング、原色、モンタージュのインサートラッシュ。
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