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イースト/ウェスト 遙かなる祖国のmhのレビュー・感想・評価

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大祖国戦争の痛手から立ち直るべく、国外に避難・亡命していた白軍関係者を呼び戻そうしたスターリンの政策に翻弄されたフランス人夫婦のお話。
入国するやいなや、間違いだったことに気がつくももう戻れない絶望がすごい。大粛清を生き延びた猛者たちに、ブルジョワジーなロシア皇帝関係者はどんだけなまっちょろく見えたものか想像に難くない。
周りの迷惑を顧みずにギャーギャー騒ぐ奥さんにヘイトが募る展開良くないと思ってたら、そのあたりも終盤の伏線になってるといううまい脚本だった。
密告者がいたるところにいるとか、ひとつの家に5つくらいの家族が押し込められるとか、1950年前後のソ連(現ウクライナ)の状況を描いている映画はあまり見ないので貴重で助かる。
心は離れたけど嫉妬だけが残った亭主と、ソ連に染まって距離を置いているかのようだった息子が、最後の最後に種明かしをするのが、これ以上なく決まっている。
母親の恋愛をそばで見ていた息子さんの心中が忍ばれる。
スポーツの国際大会で脱出するパターンと、同盟国ブルガリアからギリシャを経て脱出するパターンと、ゴルバチョフ時代のグラスノスチで脱出できたパターンと、さまざまな形でソ連から逃げのびるのが描かれる。
国際大会で亡命も、ものすごい監視をくぐりぬけて行われていたんだね。
配役も抜群で、歴史にもガッツリ絡んでて、これはいうことなかった。
面白かった!
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