くりふ

マーニーのくりふのレビュー・感想・評価

マーニー(1964年製作の映画)
3.0
【チンコネリーの苛立ち】

「スクリーン・ビューティーズ」での上映にて。これはしんどかった。前作『鳥』からガタッと落ちた感。歌を忘れたカナリアいうか演出リズム忘れたヒッチいうか。

ティッピ・ヘドレンも人形化が進み、トラウマに脅える機械のよう。人物として面白くないです。スクリーン・ビューティーって意味でも前作の方が上だと思いました。

よく言われてきた、ヒッチがティッピに求愛したが断られハラスメント激化…という裏事情が影響したのか、と単純に思ってしまった。だから逆に、劇中ティッピに対するショーン・コネリーの視線をヒッチのそれに合わせれば味わい深いですが。

権力で囲うことはできてもモノにはできぬ焦燥感。とうとうキレて力づくで…の醜悪さには、ヒッチの自虐を感じてしまいました。

ションコネさんは、ルックスもそうだし要はマチズモ男だから、ずばりペニスのように見えてくるのが面白い(笑)。インテリ設定だから考えるペニスですね。

ティッピの隙を狙った、ぐいとアップの初キスシーン、これ、官能的ですかね? スクリーン全部がぬめる肉で埋まり、ポルノの結合部アップみたいでしたけど。

ションコネさんに共感したのは、やりてえけどできねえ!な苛立ちのところですね私は。嵐の中、窓を突き破る大木ってありましたが、とてもわかり易いと思う。突如ビッ!とティッピをさす指のペニス感なんかもすごい(笑)。

「赤い恐怖」の描写はもうギャグみたいでした。実際あんな反応するなら日常生活どうなっちゃうのかな? 赤信号とか。トラウマの底に性の問題があるけれど、初潮が来た時なんか大丈夫だったんだろうか?

ティッピより断然、ダイアン・ベイカーさんの方が魅力的でした。ブロンドより漆黒の髪が勝っちゃうって、ヒッチ映画としては問題なのでは?

彼女、芸歴長いですね。よく覚えているのは『羊たちの沈黙』でレクターに乳首立った?とセクハラされる議員さんですが。…って、アダルトな話題ばっか書いてしまったぞ、まあいいか。

画的に面白かったのは、ティッピの実家をずっと威圧する巨大な船の存在。歪なくらい過剰な画で、これラストを迎えても変わらないんですよね。ティッピは結局、そこから逃げるしかなかったのでしょう。

<2014.3.4記>
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