くりふ

家での静かな一週間のくりふのレビュー・感想・評価

家での静かな一週間(1969年製作の映画)
4.0
【お化け屋敷を爆破せよ】

シュヴァちゃんはシュールレアリストを自称しているが、映画作家としても大したものだ、と思わせてくれたのが、時系列では確か、本作あたりからだった。

謎の無人宅に泊まり込み、毎日、違う部屋を覗き見て1週間後…その家に対し、ある決断をする男。

見せ場ということでは、覗き穴から見える“異世界”アニメがシュヴァ節全開なコト。但し、他では(滅多に?)使わないエフェクトで、より幻惑的な動きを演出している。逆にクエイ兄弟がよく使っていたので、本作からの影響はカナリ強いのか…と連想させられる。

シュヴァ映画は母国チェコの圧政感に必ずどこかが脅かされているが、この物語では、秩序を乱すものは殲滅せよ!との命を受けた男が、それを機械的に遂行しているように見えます。…不条理な展開なのに。

まぁシュールレアリズムなんて、為政者にとっては制御できない厄介なものだろうから、潰しておきたい気持ちはわかりますが…シュヴァ映画は表向き現実逃避しているから、特に危険でもないのでは?

男が政府の忠実な下僕だとするなら、それを笑い飛ばしていますね。ブラックユーモアと、生々しくも愉しいアニメーションを共存させた、初期傑作のひとつだと思います。

<2024.5.21記>
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