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ミニヴァー夫人のMaoryu002のレビュー・感想・評価

ミニヴァー夫人(1942年製作の映画)
3.9
1939年、ロンドン郊外でミニヴァー夫人(グリア・ガースン)ら家族が平和に暮らしていた。息子ヴィン(リチャード・ネイ)は名家の娘キャロル(リチャード・ネイ)と出会い恋に落ちるが、ドイツとの戦争が始まって空軍への入隊を決める。やがて空襲が激しくなり、ミニヴァー家は戦争の恐怖に包まれていくのだった。

多作なウィリアム・ワイラー監督が戦中にプロパガンダ映画として作った作品らしい。

戦闘シーンはなく、イギリスの郊外で家族を守る者たちを映した変化球の戦争映画になっている。
特に前半はのどかで平和な町の様子が描かれ、裕福な家族に若者のロマンスと、まるでファミリードラマのようだ。

しかし、少しずつ戦争が近づいてきて、ダンケルクの救援からグッと町に深刻さが漂う。
戦闘機の場面などはチャチいが、編み物をして、息子夫婦の新婚旅行の話をしながら空襲をやり過ごす、セーフハウスには緊張感が溢れている。

“戦争は戦場だけで起きているのではない” “自由を愛する皆の心を奪う” という神父の言葉からは、プロパガンダ映画ではなく反戦映画のメッセージが伝わる。だからこそ、最後の“戦おう!”という言葉や出撃する大編隊の映像には違和感があった。

主演は「心の旅路」がとても印象的だったグリア・ガースン。そして、「我等の生涯の最良の年」でも温かく健気なペギーを演じたテレサ・ライトが、明るく聡明なキャロルを演じている。

そして、は、「素晴らしき哉、人生!」でドジな天使を演じたヘンリー・トラヴァース演じる、優しさと平和の象徴のような駅長バラードが泣かせる!
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