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猫が行方不明のメルのレビュー・感想・評価

猫が行方不明(1996年製作の映画)
3.6
1990年代のパリ11区での話。
休暇中に預けた猫が逃げ出し、ご近所や全く知らない人たちを巻き込んでのドキュメンタリー風ドタバタ劇。

バスチーユ広場を中心に主人公の家、猫を預けたマダム・ルネのアパート、溜まり場のカフェなど、当時の11区の繁華街がそのまま写されていて壁の落書き、古いアパートの乱雑さが目立ちお洒落なパリとはかけ離れた映像。

街のあちこちで古い建物が壊されてアパートを追われる人たちも描かれているので、再開発真っ只中の11区なのかもしれない。

それにしてもここに登場するのは多種多様な人々。
主人公の女の子の同居人はゲイ、猫探しの相棒は仲間から常に馬鹿にされたり、自負勝手な男たち、自己主張の強い女たち。

意外な所から出てきた猫と同じく意外な形で収まるエンディング。
もしかしたら行方不明の猫は何かの象徴で意外に近くにあった「青い鳥」的なストーリーかも。
皆んな自分の猫を探しながら生きてるのかもね。

猫探しの相棒が言う様に人生は全くもって不公平で理不尽。
だけど奇妙で可笑しくて結構楽しいのもまた人生ということか。

「スパニッシュ・アパートメント」「ニューヨークの巴里夫」の監督さんなので、とても若いロマン・デュリスも見られます。
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