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八月の濡れた砂のペインのレビュー・感想・評価

八月の濡れた砂(1971年製作の映画)
3.5
藤田敏八監督作初鑑賞。

彼が梶芽衣子主演で撮った「修羅雪姫」はタランティーノの「キル・ビル」に多大な影響を与えている話は有名。


本作は日活がロマンポルノに路線変更する前の最後の青春映画ということで、これまでの日活青春映画の伝統とエッセンス(※無軌道な若者たち、大人への反抗、セックス等)をちりばめながらも、一つの時代の終焉、もの寂しさのようなものも感じさせる異色作。


正直、同世代に活躍した大島渚、若松孝二、寺山修司といった鬼才監督らの青春映画に比べると才気走った感じは希薄で、映画としての出来もすこぶる良いとは言い難い。


ただ、アメリカの青春映画で「初体験 リッジモント・ハイ」という作品があって、その作品は本当に映画としての作りはユルユルでお世辞にもよく出来た作品とは言い難いが、それでも魅力的なキャラクターたちや作品の世界観、インパクトのあるシーンがあることから私の偏愛作品である。その意味ではこの「八月の濡れた砂」も「初体験 リッジモント・ハイ」も私の中では似たような感覚。


魅力的なキャラクターといえば本作に出てくる女性たちは本当に輝いてた(※姉妹役であるテレサ野田と藤田みどり、片桐夕子等)。終盤のヨットのキャビンが赤いペンキで塗りたくられたシーンも鮮烈で忘れ難い。
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