ネネ

エコールのネネのレビュー・感想・評価

エコール(2004年製作の映画)
3.7
原作は1903年に発表された小説『ミネハハ』(フランク・ヴェデキント著)。

心で観た映画を、脳みその中でこねくりまして言葉に変換していくと、どうしてもその過程で齟齬をきたします。
言葉を扱う仕事をしているため、ほとんど毎日「歯がゆい!」と地団駄を踏んでいますが、今も猛烈に踏み鳴らしているところです。
感じ取ったものをいったいどう表現したらいいのか、持て余して。
模索模索……。

さて本作の舞台は閉ざされた森の中にあるエコール(フランス語で学校のこと)。
そこでは6歳から12歳の少女たちが、白シャツに白いプリーツスカートの制服を身にまとい、バレエを習いながら暮らしている。

ある夏の日。
エコールにひとつの棺が届けられる。
最年長の少女ビアンカが鍵を開けると、中で眠っていた裸の幼女イリスがきょとんとした表情で目を覚ます。
棺を取り囲む少女たちは、順番に自己紹介をしていく。
少女たちはイリスに制服を着せて、髪を二つに結わえ、最後におのおののリボンを交換する。
赤、青、紫、オレンジ……、リボンは年齢によって色分けがされているのだった。

少女たちは純粋培養のように育てられている。
森の中の湖に向かい、服を脱ぎ捨てて水浴びを楽しむ。
森は昼間でも暗く闇に満ちていて、白い制服や少女たちのむき出しの足を際だたせた。
膨らんでいない胸や性を感じさせない体を映すカメラは、ずいぶんと執拗で、ドキッとした。
見てはいけないものを、こちらから覗き見しているような感覚に襲われた気がして。

無垢で美しいものの中に、エロティシズムを感じるのはなぜなのだろうと考えながら見ていたのですが、答えは見つからないまま……。
私の心の汚れが原因だったら元も子もないなぁ……。

杖をついた若い女教師が「先生は学生時代、森を抜け出そうとして足を折られてしまったのよ」と生徒たちの間で噂になっていたのは、秘密と謎と禁忌の気配がして、とても好きなエピソードでした。
優しい女教師を慕っていても、少女たちとの間には明確な隔たりがあるあの感じ。

イノセンス。
少女の頃、この言葉が大好物でした。
私たちだけの世界、大人にはわかんないよ、とか、男の子は入れてあげないよとか。
そういうめんどくさい生き物だった頃。
もうずっと忘れていたけれど、そういえばそんなこともあったっけ、なんてとても懐かしくなりました。
ネネ

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