ジョン・フォード監督による対日本・戦意高揚プロパガンダ映画。1942年6月のミッドウェー海戦を現地撮影。ナレーションはヘンリー・フォンダなど。アカデミー賞 第 1 回最優秀ドキュメンタリー賞受賞。
NETFLIX配信中の「伝説の映画監督 -ハリウッドと第二次世界大戦-」(2017)と並行して鑑賞。
爆風の衝撃から乱れるフレーミング。撃墜され粉々に砕け散る日本軍の戦闘機。そこには確かに人間が乗っていたのだ。
夕陽の中で休息するアメリカ兵。そこに情緒的なフォークソング「赤い河の谷間」を流す。フォード監督の定番演出が戦場ドキュメンタリーでも用いられている。
映画のラストは、アメリカ海軍行進曲「錨を上げて」の威勢の良い音楽にのせて撃墜した日本軍の数字を示し、ペンキでバツ印を書きなぐっていく。「日本軍運搬船4隻を撃沈」「日本軍の戦艦28隻を撃沈」「日本軍の戦闘機300機を破壊」。
戦時下では敵軍の命の数が戦果となることを思い知らされる。他者への想像力やヒューマニズムは麻痺している。ミッドウェー海戦では日本軍3057人、アメリカ軍307名が亡くなった。本作に横たわる気分が原爆投下に繋がっていく。
※フォード監督は軍服を着ることにこだわりアメリカ海軍へ志願入隊(後に戦略諜報局OSSの野戦撮影班に所属)。当初のミッドウェー島への派遣目的は島の兵隊生活の撮影だったが、偶然日本軍の急襲が勃発。最前線での生々しい戦闘がカメラに収められた。