コミヤ

用心棒のコミヤのレビュー・感想・評価

用心棒(1961年製作の映画)
4.4
風のように当ても無くやってきて風のように去っていく侍。背中で始まり背中で終わる円環構造が彼の旅に終わりがない事を暗示する。弱きを助け強きを挫く1人の男を描いた本作は日本の最初期のヒーロー映画!

本作は一本の通路で繰り広げられるミニマムでシンプルな作劇となっている。両端に2組のヤクザのアジト、中央に番太と居酒屋。舞台がシンプルだからこそそれぞれの役割が明確になり映画としての面白さが増すのだと思う。

そして2組のヤクザの抗争が泥沼化し、一触即発の危ういバランスで成り立った街に異物としての侍が現れ、次第にこのバランスに変化が生じ始める。

彼が二つの組みに揺さぶりをかけ、物語がどちらに転ぶか分からないという面白さに終始引き込まれた。アクション以前に心理戦としての面白さもあるかも。ちょっとヤクザの皆さん頭悪すぎだけど。そこに現れた切れ者の卯之助!仲代達矢かっこよすぎ! こいつにだけはお見通しで無敵と思われた三十郎もピンチに。切れ者と言っても他の奴らと同じで少し抜けてるところもあったので他との違いをもっと際立たせてもいいのではとも思った。

そして卯之助率いるヤクザと三十郎のラストの一騎打ちの素晴らしさたるや。砂埃舞う道をゆっくりと歩み寄る両者。そして剣の達人による早技とあまりに一瞬過ぎる決着。ここだけでも何回でも観られる。

椿三十郎が続編らしいので近いうち観たい。

丑寅の部下の身長2メートルくらいの巨人みたいな奴が衝撃的だった。羅生門綱五郎というぴったりな芸名の台湾人でプロレスとか相撲とかやってたらしい。

番太の半助が可愛い。
丑三つでゴザーーイ!
コミヤ

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