オプティマス

ディープエンド・オブ・オーシャンのオプティマスのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

3歳で誘拐された息子ベンと9年後に出会い、その家族の葛藤を描いた作品です。誘拐された原因とかそれを突き止めるようなサスペンスドラマ要素は殆どなく人間ドラマ重視です。奇跡的に再会を果たして家族の元に戻れましたが、そこからも大きな衝突がありました。3歳だったベンは12歳になってベスやパット、兄妹のことも覚えていません。家族を見つけることは出来たけど、既にベンは他人の子になっています。是枝監督のそして父になると同じように、何とも言えない何が正解か分からないような感覚になります。ベンのことばかり考えてしまい、今ある家庭、そばに居る子どもたちに目を向ける事が出来ずにいました。少し威圧的な様子も見られます。両親の物語や誘拐された子の物語だけでなく、家族との関わりに悩む兄の物語でもありました。しかし兄のビンセントの描写が少なかったように思います。
ストーリー全体的には良かったのですが、所々気になる点がありました。9年の時が経っているのにも関わらずベスとパットの見た目と中身が殆ど変わっていないことに気付きました。結構な年月を重ねているためしみやしわ、体型などキャラ作りをリアルに描写したほうが良いと思いました。ベンと再開して「あ、そういえば」的な感じにも見えました。その再会も唐突に出会うので信憑性にかけます。他にも唐突な要素があり、シーンとシーンと繋ぎ方も少し端折っているように見えましたし、視聴していて少し急いでいるようでした。
さらに音楽を多用しておりまして、本編の7~8割くらい音楽を使っていました。それも感動を誘うような音楽です。少しやりすぎて逆に盛り下げられた感覚です。もっと音楽を少なくしてカメラを上手く用いて演技で勝負して欲しかったなと思います。結の部分もすこし感動値を詰め込んでいるように見えましたし、私の意見ですが、もう少し寂しさを残してもいいのではないかなと思いました。
しかしこの類の映画は個人的にかなりの好みです。家族とは何か?家族の定義とはなんなのかをテーマにした良い作品と思います。