ブタブタ

ゾディアックのブタブタのレビュー・感想・評価

ゾディアック(2006年製作の映画)
4.0
自分は「ゾディアック存在しない説」が非常に面白いと思ってまして。
それぞれの殺人犯は殆ど別々で、例えば生き残ったカップルの男の証言=黒覆面をしたいわゆる「ゾディアックキラー」の目撃証言も自分(又は共犯者)が恋人を殺し「ゾディアックキラー」をでっち上げた狂言或いは嘘、でなければ幻覚その他諸々...ゾディアックなんて連続殺人犯はおらずそれぞれの殺人は別個の事件で、新聞社やテレビ局に手紙やパズルを送り付けたのも殺人犯でも何でもない愉快犯で、さらに被害者の服の切れ端を送ってきた奴はその事件のみの犯人だったり、「ゾディアック」を名乗る人間は沢山居てもうどれがどれやらわからない状態なのでは。

そう思うと「ゾディアック」はまさに「マクガフィン」みたいなものでこの映画の中心に位置しなおかつ空っぽで存在しないもの。
ゾディアックを巡る人々の狂騒だけがリアルに存在してて肝心のゾディアックは存在しないとしたら、いったい全体ゾディアックって何なんだろうと奇妙な気持ちになるしゾディアックは捕まるわけはない、永遠に謎は謎のまま。

切り裂きジャックももしかしたらそうなのかもしれないし、誰かが作り上げた空想の殺人鬼がいつの間にか自分の意思を持ったかの様にひとり歩きして「切り裂きジャック」「ゾディアック」と言う名前、共同幻想としての実体を持たない怪物と化してしまう。

ゾディアックに魅せられ次第に狂っていく3人の男達は殺人犯ゾディアックを追ってるつもりが逆にいつの間にかゾディアックと言う妖怪に取り憑かれてしまってる様に見えて、なんだか京極夏彦のミステリー小説世界にも見えました。

と思っていたら、最近自分の義父がゾディアックではないかと言う人が現れて、何やら証拠らしき物品もあるとか。
更にその人物は「ブラックダリア事件」の犯人であるかもしれないと言う驚愕の展開になってるみたいで、もしかしたら将来「ゾディアック」「ブラックダリア」この二つの未解決事件の真相が解き明かされて二つを合わせた映画が作られるかもしれません。
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