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トラック29のfilmoutのレビュー・感想・評価

トラック29(1987年製作の映画)
4.2
初期ゲイリー・オールドマンのクドさ、オーバーアクションが全開。
思春期の頃、流行りの『LEON』を観た時に絶望的にカッコいいと思ったがその後遡った『シド・アンド・ナンシー』で胸焼けした。
本作はその『シド・アンド・ナンシー』より少し前の作品らしい。

ゲイリー・オールドマンのせいではなくニコラス・ローグの演出が確実にクドい、よく分からない、破綻している、という観客置いてきぼり演出としか思えないが、なんかしらんけど他では味わえない中毒性がある。
たまにカメラが逃げたり無造作に別カットを挿入したりするコラージュっぽさ、というよりゴダールが提唱していた音響+映像のソニマージュっぽさがあり観念的でオカルティックな物語と絶妙にシンクロしている。
後半になってダイナミックに『恐怖の岬』を引用しながら本編と映画をコラージュし回りくどくも明確に描いた。

もはや映画が終始錯乱しており、散らばる視点と音によって主人公の感情がダイレクトに伝わってくる。
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