くりふ

トラック29のくりふのレビュー・感想・評価

トラック29(1987年製作の映画)
3.0
【赤ちゃんプレイヤーズ】

U-NEXTにて。『マリリンとアインシュタイン』からのニコロー繋がりで。これは劇場公開時にみて、茫洋とした思い出が…。

自分の中に潜む“子ども”を飼い馴らせない大人たちが、グダグダするお話。

再見して、キッチリよくできているが、映画として独り言ばかりで閉じているので、アウェイ感に苛まれてしまう…ということがわかった。

登場人物は“赤ちゃんプレイ”中みたいな人たちばかりだが…第三者にはただ、アホに見えちゃうよね。

演出には違和感ないので、脚本が生焼けだったのかな?まさに言葉足らずというか。

演技もイイ。特に物語の炎上役、若き日のゲイリー・オールドマンは本領発揮でキレ、素晴らしい!

…んだけど、主人公テレサ・ラッセルとぶつかっても火花散らず、ケミストリーも起きない…。本作に関しては、監督の奥さんキャスティングは安直だったのでは?

テレサねーさんは悪くないのに、ヒロインにこうも接点持てないのも不思議。とりあえず、冒頭から喚かせちゃダメだね。出産トラウマを背負った人物だけど、例えばあの巨尻により、もの言わせばいいのに。

お話は、ジョン・レノンの♪マザー!で幕を開けるが改めてこの曲、強烈!後に続く映画の叫びが、ここで歌い切られてしまうほど。

叫んで暴れて発散して自己満足で落ち着くって話だから、マザー!1番で充分。選曲ミスってより、映画が弱いのでしょう。ちなみに、ジョージ・ハリスンの制作会社だったので、選曲しやすかったらしいね。

タイトルは、ダンナ役クリストファー・ロイドが口ずさむ、チャタヌーガ・チュー・チューの1節、29番線って意味ね。歌われる駅には存在しない架空の番線だそうですが、ナルホド本作には合ってます。

私には、主人公である奥さんより、ダンナの方がオモロかった。鉄道模型オタクが右傾化するって目からウロコ!ナルホド、鉄道を制する者は国を制するってか!www

世界征服を企むダンナを、頭がアレな奥さんと、イマジナリーバッドチャイルドが食い止めるって話に膨らませた方が、ずっとオモシロかったんじゃないか?

ゲイリーが、ダンナの“子ども”を破壊することで、本来ならカタルシス溢れ捲りの筈なのに、まったく心が動かない。コレ、本作の象徴的な場面だと思いました。

物語の周りを衛星のようにウロつくトラックは…要はペニスなのでしょうが、このちんこ関連は、ヒロインの視界外から物語を始めており、唯一、位置づけがよくわからなかった。ぶらぶらし過ぎではと。

で、べろんちょ顔のサンドラ・バーンハードにうゎ懐かし!と感激。こういう顔、見なくなったなあ…。

<2024.3.29記>
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