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俺たちに明日はないのぉゅのレビュー・感想・評価

俺たちに明日はない(1967年製作の映画)
3.7
2022年 鑑賞 22-135-16
NHK BSプレミアム にて
「奇跡の人」「逃亡地帯」等のアーサー・ペン監督による、アメリカン・ニューシネマの先駆的作品の1本。刑務所を出所してきたばかりのならず者のクライドと、平凡な生活に退屈していたウェイトレスのボニーは、食料品店の強盗を働くことで刺激され、二人は車を盗み、町から町へと銀行強盗を繰り返すようになる様を描いたアクションクライム作品。
ボニーとクライドは世界恐慌時代の実在の銀行強盗であり、のエンディングは「映画史上最も血なまぐさい死のシーンの1つ」として象徴化されている。

ー ボニーとクライドに明日はない? ー
「俺たちに明日はない」を観たことなくても、ボニーとクライドの名前は聞いたことがある。また、原題の「Bonnie and Clyde」よりも、邦題の「俺たちに明日はない」の方が断然最高と思える作品の1作だ!

始まり方好き!あの黒地のバックに写真と文字だけで、文字が出る時の印象的な音、最高!
最初のボニーの興味から興味心爆発がわかるようだが、そんなクライドは至って冷静で... そこがいい!

人の心を掴むのが上手い(たまに命襲われるが)。どちらか片方怒り、もう片方は冷静沈着になりがち。で、3人目のC・W・モス(マイケル・J・ポラードさん)を車の整備係や運転手として合流する。

“どこにに停めているんだ” “次ヘマしたら殺すぞ”
怒るクライド、凹みまくっているモス、煌びやかな世界に恋い焦がれるボニー...
“お前は抜けられる 大切に思うからこそだ” “金持ちなんて求めてない”
ボニーとクライドの強い絆を感じるシーン。2人は1つのベッドで...
更にクライドの兄バック(ジーン・ハックマンさん)と、彼の妻ブランチ(エステル・パーソンズさん)も加わり、銀行の客からは金を奪わないそのスタイルは、「世界恐慌時代のロビン・フッド」として有名になるも、ある日ボニーが突然いなくなり...

“ママに会いたい” “お願いだ 黙ってどこかに行くな” “会いに行こう”
あのシーンは凄くエモい!画質もそうなんだが、クライド一行の伸び伸びとした姿、平和そうな表情、オアシスに立ち寄ったみたいだが...

強盗の日々が過ぎ、心の空洞感が大きくなる日々... そこに警察たちが忍び寄り、突然の一斉銃撃... 遂には... クライドを怒らせ、手錠を掛けられたまま、池に漂流させられた過去を持つヘイマー(デンヴァー・パイルさん)の執念と、視力を失い捕らえられたブランチの想い... そこにあの人の子どもを想う気持ちも乗り...

まさかの展開... まさに青天の霹靂!鳥がバサッーと青空へ、あっという間に... ●●は残酷な姿だが、●●●方も残酷なんだが、あっという間で残酷さをあまり長く感じない終わり方... 恐慌時代だからこそ起こったことを、’60年代だからこそ作られた作品だった。だからこそ儚くて、ドス黒い幻のように感じた。幻はもう終わったんだなぁって浸った作品。

「強盗を始めたころはどこかへたどりつけると思っていた でも違った ただ進むだけ」

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