Maoryu002

私の殺した男のMaoryu002のレビュー・感想・評価

私の殺した男(1932年製作の映画)
4.3
第一次大戦中、ポール(フィリップス・ホームズ)はドイツ兵を殺しその恐怖と後悔で心を病み、殺した兵士の家を訪ね父親(ライオネル・バリモア)たちに会うが、彼らに息子の友人と誤解されてしまう。一家は息子を殺したフランスを嫌っていたが、ポールと過ごすうちに憎しみが消えていく。一方、ポールの罪悪感は募るばかりだった。

エルンスト・ルビッチ監督にしては珍しく、かなりシリアスな作品。

死んだ息子の友人と勘違いされるというシチュエーションはどこかで観たと思ったら、「ディア・エヴァン・ハンセン」とよく似ていた。結末はだいぶ違うけど。

物語は殺した相手の家族に会うポールを中心に進むんだけど、実はこの作品の主役はポールではなくドクターホルダーリンに思えた。ラストはそれでいいの?とも思ったけど、ホルダーリンの変化がこの映画のテーマということなんだろう。

若い二人、フィリップス・ホームズとナンシー・キャロルの演技はちょっとお粗末だけど、「グランド・ホテル」「我が家の楽園」「素晴らしき哉、人生!」で存在感を見せるライオネル・バリモアは貫禄十分。

彼の演じたホルダーリンが酒場で男たちに言い放つ。“誰が若者たちを殺せと命じた?誰が武器を与えた?我々父親じゃないか。敵だって同じだ。老いて戦えないのに憎しみを備えた我々だ!” という言葉に誰もが下を向く。

当時、反戦映画過ぎたんだろうか、もっと評価されていい映画だと思う。
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