うかりシネマ

回路のうかりシネマのネタバレレビュー・内容・結末

回路(2000年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

赤いガムテープで封じられた「あかずの間」を開けてしまうと幽霊に遭う。幽霊に害意はなく、ただそこに存在するだけ。……という設定は面白いが、ドラマ部分がとにかく弱い。
何が起こっているのかは分かるがどこに向かうのか分からない『CURE』と対照的に、語りたいテーマは分かるが何が起きているのかは掴めない。

壁についた人型のシミ、繋がらないまま無理やりくっつけたシーン、タナトフォビア、こういったホラー描写はどれも面白いし、“いかにもホラー”ではないシュールな厭さは怖い。
ただ霊がそこにいるだけ、霊に遭って気が狂い、死んでしまう、というところで終わらず、「その先」の恐怖を描いているのもいい。霊の何が怖いのか、を想像させるのが厭。
霊の描き方はどれも怖いんだけど、特に肩を叩くシーンは最高。

二つの視点を交互に描いて合流させる構成だが、双方が完全に無関係なので面白みがないし、合流も唐突で、シナジーがないのでそれぞれの登場人物が出会ったところで何が生まれるわけでもない。
どちらの場面も何か象徴的なことがあるわけではなく、ただランダムに選ばれただけにしか見えない。一応、大学の方のパートは真相が語られるので意味はあるが、主人公がその中心にいるわけでもなく。
ラストはゾンビ映画のようなスケールになって、設定的には正しいのだけど、これまで描いてきたスケールから地続きに感じられない飛躍で残念。