ゆんぶりっく

回路のゆんぶりっくのレビュー・感想・評価

回路(2000年製作の映画)
4.6
初見。
これは本当に傑作級の出来なのでは…
湿度が高く薄暗い日本の気候にマッチしたジメッとした恐怖演出が最高…!

確かに、ストーリーが分かりにくいというか、何故そうなるのかのロジック部分で分かりにくい点はあれど、この辺はネットで調べればあらすじや納得できる考察がいくらでも出てくるので割愛します。


とにかくジャパニーズホラーの1つの完成系を見たような気がする。

この映画って見ている最中はそんなに怖くなくても、見終わった後、自宅等で必ずあるであろう光の当たらない部屋の隅、物影、隙間、…そういった視覚のデッドスポットが全て恐怖の対象になってしまう影響力があるのが良い!
今にも暗闇からヌッと人が出てきそうな気がしてきて…笑

「インターネット」がある意味恐怖の対象となっている点も面白い。
我々の領域を侵食していく恐怖の媒介者を、今ほどは馴染みのない(得体の知れない)インターネットにしたのは当時の時代とマッチしてそう。

部屋に閉じこもってネットを通してしか他人と関わらない人々は孤独である。彼らは死者となんら変わらないという発想は極論のように思いつつも、ファミレスで面前に友人がいるにも関わらず全員がスマホに目を落として一切会話をしていない姿などを思うとあながち間違っていないような気もしてきますねぇ…





多少物語の展開込みの超怖くて好きなシーンは何と言っても…


矢部が開かずの間に入ったシーン。
この暗闇から女の霊が出てくるのも最高に怖いし、その後の女の動きよ…
不自然なうねり方でゆっくり近づいてくる動き一発で「この世のものではない」ことが分かる秀逸な演出で大好き。

ワンカット風に女が飛び降りるシーンもいいし、世界崩壊後にひたすら名前と年齢を読み上げていく謎のテレビ番組も不気味で好き。
明るく振る舞っていた田口くんが数分後に首吊り自殺をしていると言う高低差が実に良いですね〜!

永遠の孤独に恐怖する小雪に対して「きっと近い将来不老不死の薬ができるから俺はそれを信じる!!」とかのたまう加藤晴彦の爆裂KY発言も最高です!笑
ゆんぶりっく

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