ドント

吸血鬼のドントのレビュー・感想・評価

吸血鬼(1932年製作の映画)
3.7
1932年。ある村にやってきた青年が老人から「娘を助けてくれ」と頼まれ吸血鬼と対峙するという話なはずなのに何だか掴みづらいけど確かにしかし漠として怖い不思議な輪郭の映画。
音が出るようになった時代だと言うのに、台詞も音も削られている。それゆえ残ったものは研ぎ澄まされている。映像としてもインパクトのある瞬間はもちろん異様なショットや不穏な場面に満ちていて、特に青年がうろつく一連のシーンと、とり憑かれてニヤつく娘の顔、死体から見上げる空が悪い夢のようで素晴らしい。「影」として多様な凶兆が飛び交うだけの前半が特に好ましい。
幽体離脱のくだりあたりからがよくわかんねぇのだがそれはさておいても目を引き付けられる。音もなく動くようなカメラワークもすごい。オバケとかが出なくても絵力で予兆と怪奇を成立させ切っている。ウーン、スゴいね古典。
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