ダンクシー

イージー★ライダーのダンクシーのレビュー・感想・評価

イージー★ライダー(1969年製作の映画)
3.8
「俺はこのままがいい」

ボォ〜〜ントゥビィ〜ワァァ〜〜〜イルッ♪イカしたハーレーダビッドソンでのロードムービー。ステッペンウルフの「Born to be wild (ワイルドに行こうぜ)」が最高。この曲だけでも観る価値がありますね。
自由を追い求める若者たち。時間に縛られないために腕時計を捨てて旅に出る。

まぁ自由を求める旅とは言えど、傍から見たら、酒・タバコ・ドラッグをキメた生意気な若者の現実逃避とも言うべきか。しかし、当時の時代背景が反映されている。ベトナム戦争の真っ最中であり、若者たちが何を信じたらいいか分からなくなっていた。長髪なだけで批難され殺されてしまうような世界。だから酒やドラッグに溺れる。アメリカ社会を批判した、アメリカンニューシネマの伝説的作品。

そして地味にスゴイのが、もう今の時代では当たり前ですが、既存の曲を一つ一つ許可を取って使用するという方法を使った。これは当時では新しい手法であり、映画界における革命的行為ともいえるだろう。

「都会じゃない所を見つけたということだ」

キャプテン・アメリカ(ピーター・フォンダ)、ビリー(デニス・ホッパー)、ジョージ(ジャック・ニコルソン)という素晴らしいキャスト。ピーター・フォンダとデニス・ホッパーというハリウッド界の不良俳優2人が業界に衝撃を走らせた。チカチカ点滅するカットや、ジャンプカットが特徴的だ。美しい大地をバイクで颯爽と駆け回る姿にロマンしか感じなかった。が、徐々に空気は不穏になっていく。本当の意味で自由が存在しなかった時代。自由を追い求めるには強さが必要だ。

「我は信ず 全能の父を 天地の創造主を」

しかし、最後よ!!酷ぇー!酷すぎる。当然すぎて唖然としたが、よく考えたら辻褄が合う。劇中でしっかりと描かれていたではないか、と。ジャックが言っていた通り、アメリカ人は自由なヤツを見るのが怖いのだ。それを体現したラストとなった。

ただ、改めて思うのが自分はこういうのはあまり好みではないという事。ニューシネマというのは分かってるし、そういう作品なのも重々承知している。だけどやっぱ腹立つこととか理不尽なことには反撃だったりやり返すだったり、そういうタイプの作品が俺の好みだから、モヤモヤが残ってしまう。でもイージーライダーでそれをしてしまったら全てが台無しになるっていうのは分かるんですが、あくまでも好みの話って感じですね。

だがやっぱり俺もハーレーダビッドソンに乗って冒険したいぜッ!!!
ダンクシー

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