自宅で。
2008年のアメリカの作品。
監督は「シックス・センス」のM・ナイト・シャマラン。
あらすじ
ある日、セントラルパークで突然そこにいた人々が次々と自殺する異常現象が発生、フィラデルフィアの高校で理科の教師として働くエリオット(マーク・ウォールバーグ「フライト・リスク」)は妻のアルマ(ズーイー・デシャネル「ドリーミン・ワイルド 名もなき家族の詩」)らと共に現地を避難することになるが、異常現象は彼らのすぐそばまで迫っていた…。
個人的にシャマラン映画の中で1番好きな作品を挙げるならば、「サイン」でも「ヴィジット」でも「スプリット」でもなく、実は今作だったりする笑。
ただ、最近の「トラップ」はあんまりハマらなかったし、その前の「ノック」や評判の良かった「オールド」そして代表作の「シックス・センス」はそもそも観てないビギナーもビギナーなもんなため今後それが覆るかもしれないけど、何にせよ現時点では断然これが好きです。
お話はあらすじの通り、「ある異常現象」を題材としたディザスターというか、ほぼほぼパニックムービーみたいな感じの内容となっている。
まず、その「始まり」がとにかく良い!!
見通しの良い昼下がりのセントラルパーク、8時33分。ベンチに座る女の子2人組が何気ない会話をしていると、突然遠くから小さく「キャー」という叫び声。女の子の1人が異変を感じて振り返ると1人、また1人と突然後ろ歩きを始める違和感。そして、周りを見渡すとあっちもこっちもまるでビデオの一時停止をしているかの如くその場でフリーズ(ただ、ワンちゃんだけは平気)。そして、異変を感じた女の子の隣に座っていた友だちが徐に髪につけていた簪を…ともうここに全てが詰まってるよなぁ…。マジでキタキタッ!って感じ!!
で、どうやらこの異常現象は全米北西部を中心に各地で起きているらしく、第一段階で意味不明な発言、第二段階で体の動きが変になり、方向感覚を失う(一時停止、後ろ歩き)、そして第三段階で自殺を遂げてしまうこの謎の現象から逃れるために、マーク・ウォールバーグ演じる理科の教師エリオットとその奥さんのズーイー・デシャネル(相変わらず超絶可愛い!!)演じるアルマは同僚のジュリアン(ジョン・レグイザモ「バイオレント・ナイト」)とジェス(アシュリー・サンチェス)親子と共に彼の実家に避難することになるんだけど…。
まぁ、とにかくこの現象の恐ろしいところはほぼ防ぎようがないところ。要は植物が自らの化学反応の進化により、振り撒く毒素が風に運ばれて、それに接触した人が自殺しちゃう感じなんだけど、まぁとにかく外にいたら、そりゃ相手は自然なもんだからどこからともなく風が吹くと(多分今まで観てきた映画の中で1番恐ろしい"風"演出)、コロっとフリーズして次々に自殺しちゃうから怖過ぎるっ!!
ただ、風で葉っぱがそよいでるだけなのに何でこんなに怖いんだっ!!
しかも、また自殺のバリエーションが豊富なんだよなぁ…。オープニングに続いて、頭上から次々と投身自殺する工場作業員をはじめ、警察官が自らの拳銃で自殺するとその警察官の死体からぽろっと落ちた拳銃を拾ってまた自殺!また自殺!とドミノ的な自殺シーンがあったり、動画投稿で動物園の飼育員がライオンの檻に単身入っていって自らの腕を差し出して食いちぎられるとか、閑静な住宅街の道を曲がると木にたくさんの首吊り死体がぶら下がっていたりと…まぁとにかく「嫌な」自殺シーンのオンパレード。よくもまぁ考えつくなぁ笑
個人的に1番嫌だったのが、芝刈り機のスイッチを入れて、わざわざ距離を置いてからその進行方向に横たわって自らインするシーン。あれは自殺する人に意識がすでにあるのかわからないけどめちゃくちゃ嫌だなぁ!!
あと、ちゃんとサバイバル展開もあってとりあえずどこもかしこも死体だらけということで集まった人たちが2グループに分かれて歩いて移動しようということになるんだけど、エリオットたちが同行する少人数グループとは別のグループ(エリオットたちに親切にしてくれた養種農家の夫婦も含む)に風の魔の手が迫り、エリオットたちがいる場所の遠くの方から次々に発砲音が聞こえるシーンも怖かったし、そこで人数が多いグループからやられる!となって少人数に霧散して風に追い付かれないように必死で野っ原を走るシーンは手に汗握ったし、自殺とは別にエリオットたちと一緒にいた中学生くらいのボンクラ2人組が風にやられないように家に閉じこもっていた住民の銃で呆気なく死んじゃうやるせなさもあったりと、まぁとにかく普通に楽しめる!
あとジュリアンが奥さんを探しにジェスをエリオットに託して、別れるシーンなんてもうなんか…死亡フラグビンビン過ぎてなんかいいシーンなのに笑ってしまった。
ただ、それこそ後々の作品「ヴィジット」的な「ヤバい老人」映画的なホラー展開にややシフトチェンジする終盤からはやや雲行きが怪しくなって、せっかくもう一つのテーマだった「エリオットとアルマの関係性の再構築」もなんか微妙な感じで終わっちゃったきらいがあるけど、それでも他のシャマラン映画の「癖強め」な方向転換に比べたら全然方向性は定まっているというか全然面白い。
まぁ、ガチのシャマラニストたちにとってはこのある程度予想できる展開だからこそ物足りなく感じちゃうのかもしれないけど、俺的にはこれくらいが程よくちょうど良いんだよな!!
火曜の8時33分から翌朝の9時27分まで起こったこの人類にとっての「ハプニング」はは突如終わりを告げるんだけど、この現象は自然によるものなのか、それとも毒ガス?政府の陰謀?結局のところはわかりませーん!!という感じも潔すぎて良かった(普通に専門家が「わかんね!」とか言うんだもん笑)
そして事態が沈静化した後、エリオットたちもまた前の生活を取り戻し始め、新たな家族としてのハッピーエンド…と思いきや一方のフランスでは…というオチも非常にジャンル映画らしい終わり方で良い。
まぁ、結局この映画を観るたびに思い出す「寄生獣」の始まりの名文「地球の誰かがふと思った。『人間の数が半分になったらいくつもの森が焼かれずにすむだろうか…』を地でいくような内容の「人類への警告」映画でもあり、やっぱ…スッキやなぁ…。