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A.I.のadeamのレビュー・感想・評価

A.I.(2001年製作の映画)
2.0
キューブリックが長年温めながらも映像化には至らなかった企画をスピルバーグが引き継いで撮り上げたSFヒューマンドラマ。
寡作ながら幅広いジャンルに取り組んだキューブリックですが、通底していたのは人間の本能的な暴力性のおぞましさと、それを傲慢にも知恵で覆い隠せると信じる愚かしさといったテーマです。
その観点で今作の設定を観ると、人工知能という存在自体に含まれる人間の傲慢さが生み出されてしまった人工知能がたどる哀しくも皮肉な末路によって描かれることを期待してしまいます。
しかしスピルバーグが作り出したのは、人工知能でありながら本物の子ども以上に健気に親の愛情を求める感動的な物語でした。
期待と違うことはあくまでも舞台裏の話なので構わないですし、もれなく意地の悪い子どもたちとトラブルが起きてもその後何の対策もとらない無能な親という説得力に欠けたキャラクターが主人公にひどい仕打ちをするダークな童話のような前半はまだ良かったのですが、風刺を加えたアドベンチャーと化して前半のテーマすら放り出す後半に至ってはがっかりせざるを得ませんでした。
冗長な終盤の数十分と甘すぎるラストも蛇足の感が否めませんでした。
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