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旅立ちの時のnozomiのレビュー・感想・評価

旅立ちの時(1988年製作の映画)
4.3

テロリストを両親に持つ少年の青春映画。

17歳のダニー(リヴァー・フェニックス)は両親と仲の良い弟を持つ高校生。

反戦活動家の両親は、ベトナム戦争当時に軍事研究所を爆破するという事件を起こしてFBIに指名手配されている。

一家は偽名を使い、アメリカ中を逃亡する日々。FBIに居場所がかぎつけられそうになると引っ越しをしなければならないので、転校ばかりでダニーは友達も恋人もろくにできず、青春がなかった。

ニュージャージーに引っ越した一家。ダニーは転校先の学校で音楽教師のフィリップ先生にピアノの才能を見出だされる。

さらに同級生で先生の娘のローナ(マーサ・プリンプトン)と出会い、二人は恋に落ちていく。

進路相談の時期になり先生に音楽大学への入学を勧められるが、逃亡生活を続けている中で大学に通うことはできない。

反戦活動の同志が捕まったというニュースを知った一家は危険を感じて引っ越しの準備を始める中、ダニーは大学への進学もローナへの想いも諦めきれないでいた。しかし大学進学を選べば、家族と別れなければならない。それは一家にとって大きな決断だった。

「セルピコ」「狼たちの午後」などを手掛けたシドニー・ルメット監督の作品。

映画を観たあとに時代背景を調べていたのですが、60年代のベトナム戦争当時は世界各地で反戦運動が行われていたようですね。ダニーの両親は、実際にモデルになった夫婦がいるみたいです。
 
自分の未来を諦めて家族と逃亡生活を続けるか、普通の生活に戻る代わりに家族に別れを告げるか…。なかなか難しい選択だと思います。ダニーだけでなく、両親も。家族それぞれの考えや思いが繊細に描かれています。

この映画でアカデミー賞にノミネートされたリヴァーの演技が良かった。ピアノを弾くシーンは勿論、彼が泣くシーンは思わずもらい泣き。

バースデーパーティー、ローナとダニーが散歩するシーン、お父さんとのあのシーン…ぐっとくるシーンも沢山あり、良い作品でした。
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