回想シーンでご飯3杯いける

真夜中の虹の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

真夜中の虹(1988年製作の映画)
3.6
フィンランドのアキ・カウリスマキ監督作品。今回鑑賞したのは「真夜中の虹」だ。

炭鉱の閉山で失業した男に、時代遅れなコンバーチブルのキャデラックを託し、父は自殺する。それを中古車屋に売って大金を得るも(屋根は壊れているのか開いたまま)、今度は暴漢に襲われ無一文に。

ここまでの冒頭の展開が20分程度だろうか。観客への感情移入など興味が無いかのように淡々と描かれるのが、いかにもカウリスマキ作品らしい。

前作「パラダイスの夕暮れ」に負けず劣らず、登場人物がみんな不器用。加えて本作に於いては無鉄砲。中盤からは前作の主演だったマッティ・ペロンパーも加わって、市井の人達の生き方や価値観が生き生きと描かれる。音楽の挿入も増えた印象で、これがまた良い意味で垢抜けていなくて、人間ドラマって感じ。

貧困層が中心の作風で、イギリスのケン・ローチ監督作品に通じる部分もあるが、あそこまで声高に社会的なメッセージを発するわけでは無いのが、カウリスマキの特徴か。