snowwhite

ソフィーの選択のsnowwhiteのレビュー・感想・評価

ソフィーの選択(1982年製作の映画)
4.0
『ペリカン文書』『大統領の陰謀』『推定無罪』のアラン・J・パクラ監督、そしてメリル・ストリープはアカデミー主演女優賞を受賞。


【ネタバレあります。】
主役は夢を追って田舎から出てきた小説家スティンゴ。彼が思い出を語る形で話は進む。

田舎から出てきてある部屋を借りたスティンゴ。同じマンションに住むソフィとネイサンに出会う。彼らは一緒に暮らしているが結婚はしていない。ネイサンはハーバード大学出の生物学者でファイザーに勤めている。

ソフィは戦後アメリカに移住してきたポーランド人で、大学教授の父からドイツ語、フランス語、
ロシア語、ハンガリー語を教わった為ポーランド語も含め5か国語が話せたが英語はまだ堪能ではなかった。

ネイサンは時々ものすごく怒鳴り散らしてソフィを怯えさせ周りのものはソフィを心配したが、翌日になるとソフィに謝るのでネイサンが大好きなソフィは彼をすぐに許し2人は上手くやっていっていた。

スティンゴば美しいソフィに心引かれたがネイサンがいるし少し問題はあるもののネイサンも好きなので、2人とは良き隣人であろうとしていた。

スティンゴはネイサンがいない時にソフィに誘われ部屋でお酒を飲みながらソフィの身の上話を聞く。

父が大学教授だったこと。反政府主義だった父は捕まり処刑されたこと。その後知り合ったデモを推進する人と結婚し子供が2人いたこと。夫も政府に捕まり処刑されたこと。そして自分と子供たちもアウシュビッツに連れていかれ下の子は焼却炉送り、上の子は行方がわからないこと。自分は5か国語出来たのでアウシュビッツ所長の秘書として採用され翻訳の仕事をしていたこと…。

色んな話を聞く内余計にソフィが好きになって行った。

ネイサンはいい人でとても楽しい人の時もあったが、時々手がつけられなくなった。ある日ネイサンの兄がスティンゴ を訪ねてくる。ネイサンは病気なので時々弟の事をしらせてほしいという。ハーバード大学も生物学者もファイザーも全部嘘だった。

帰ってきたネイサンはソフィとスティンゴを誤解してソフィを責める。誤解だと言っても信じずソフィを殴る。スティンゴが止めようとするがソフィはスティンゴを追い出す。ソフィとネイサンはお互いに心に傷を持っており腐れ縁を続けていた。

ネイサンが出ていって取り残されたソフィにスティンゴはネイサンから逃げよう、自分の田舎で暮らそうとソフィを連れ出す。

スティンゴはソフィに夢を語る。自分の田舎で結婚して子供を育てて幸せに暮らそうと。

「一緒に暮らすのはいいけど、結婚はできないわ。」とソフィ。

「僕の田舎は南部でみんなキリスト教徒なんだよ。結婚しなければ一緒に暮らせないよ。」

「あなたに知っていて欲しい事があるの。」とソフィ。

ソフィは本当の身の上を語りだす。

ソフィの父は本当は徹底的な反ユダヤ。全て抹殺すべきと考えていたこと。自分はそんな父を尊敬していたこと。アウシュビッツに着いた時に子供の内1人を選べと言われた事。片方は殺されるのだ。
「選べません。」
「選ばなければ2人とも殺す。」
「私たちはポーランド人です。ユダヤ人ではありません。」
「無理です。選べません。」
「私に選ばせないで。」
「2人とも連れていけ!」
「娘を。娘を連れていって。」
抱き抱えて連れていかれる下の女の子。
「ママー!ママー!」と泣き声が響き渡る。

上の男の子は収容所に連れていかれた。自分は収容所の所長の秘書になった。なるべく所長に気に入られるように振る舞いある日所長に頼んでみる。息子をドイツ人か計画の対象にいれて欲しいと。当時収容所の子供の中から選ばれた子供をドイツ人が引き取りドイツ人として育てる計画があった。

ソフィは色が白く金髪だったのでドイツ人ぽかった。息子も同じなのでドイツ人に見えると思うのでどうかドイツ人計画にいれてやって欲しいと。

「もう会えなくなるぞ。」「構いません。」
これで息子だけでも助けることが出来たと思った。しかし所長は転勤になり約束は守られなかった。

そして戦後何年かしてソフィは釈放された。自分だけが生き残った罪悪感。息子を選んで娘を死なせてしまった罪悪感。

「分かったでしょ。私は結婚できないの。自分だけが幸せになるなんて出来ないのよ。」とソフィはスティンゴに言った。

その夜2人はベッドを共にした。翌朝スティンゴが起きると置き手紙が。

あなたはもっといい人に出会えるわ。幸せになって下さい。ネイサンの所に戻ります。

ソフィとネイサンは自殺してしまう。2人はお互いを慰め合いながら生きてきて離れられなかったのだ。

スティンゴは田舎に1人で戻った。end

何て悲しい話なんだろう。戦争はかくも酷い。ソフィの負ってしまった傷は一生癒えることは無い。本人に何の罪もないのに。

前半と後半でソフィの人生が引っくり返る脚本が見事である。そしてそれを演じ分けたメリル・ストリープも素晴らしい。ネイサンを演じたケヴィン・クラインの演技も同じくらい良かったと思う。無茶苦茶な人物なんだがあんな人が本当にいるかのようにリアルであった。他の人が演じたら嘘っぽくなったであろう難しい役だったと思うが見事であった。
snowwhite

snowwhite