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きっと、またあえるのsnowwhiteのレビュー・感想・評価

きっと、またあえる(2019年製作の映画)
3.9

インド映画だけど、突然歌ったりしないので苦手な人でも大丈夫です。


日本で言うところの東大のような工科大学を卒業した主人公。何年か前に妻と離婚し、息子を1人で育てている。その息子は今年中学の受験だ。

息子が母に会いたいと言うので時々元妻の元に息子を送り届けたりしている。

息子が中学の受験に失敗し自殺を図った。元妻のマヤも駆けつけるが息子は一命を取り留めたものの意識不明だ。医師の話では本人に生きようという気力がないからとても心配な状況だと。


【ネタバレあります。】

主人公は意識のない息子の手を握り自分がいかに駄目な人間で負け犬の人生を歩んできたかを語り出す。

大学に入ったものの成績は悪く学生寮も負け犬ばかりが集まる第4寮に入れられる。そこで知り合った7人の仲間と共に馬鹿な事ばかりしていた。1つのエピソードを話終えた時息子は目を醒ます。

「もっと聞きたい!」
顔中ギブスで固められた息子が痛々しい。

とんでもない話ばかりで信じられないだろうからと7人の友達に本当の事だと証明して貰うためにきて貰った。もう長いこと会ってなかった友達なのに友の息子の一大事と知って皆が駆け付けてくれたのが嬉しい。

そこで語られるエピソードがホントにお馬鹿で笑える。母と父の出会ったのもこの大学だった。綺麗なマヤは大学のマドンナ。そんな彼女を負け犬の父がどうやって射止めたのか。

(両親の恋愛話って聞いてみたいよね。)

大学では毎年寮対抗でスポーツやチェスの競技が開かれるが、第4寮は万年ビリの負け犬だった。何とか今年こそはビリになるまいと一念発起するがスポーツはからきし駄目なものの集まりだったので普通にやっても勝ち目はない。そこであの手この手と姑息な手段を使いまくる。

明日の対戦相手に真夜中に女子が電話をし色仕掛けで眠らせないとか。笑

(ソレダメデショと突っ込みたくなるような卑怯な手ばかりだが面白い)

毎日話を進めると息子は段々元気を取り戻して来る。医師からは手術が必要と言われているが息子はとても不安で恐がっている。

競技大会の様子がいよいよクライマックスの最終日、バスケットの試合の話になるが父は息子にこの話は手術が終わってから話すと言う。


【この後ラストまで完全ネタバレします。未見の方はご注意下さい。】







息子は「今聞きたい。(手術したら死ぬかも知れないから)」

主人公は息子の気持ちを察して言う。「大丈夫だ。きっと、またあえる。」



(皆さん、気付きましたか?邦題の『きっと、またあえる』って何ていい題なんでしょ?深いですね。)


しかし息子は食い下がる。「どうしても今聞きたい。」

そこで主人公はバスケの試合の話をしてやる。

これが手に汗を握るというか胸熱だ。いつもはぼろ敗けの第4寮だがものすごく奮闘する。

いつもは簡単に勝てるのに第4寮がものすごく踏ん張るので第3寮がすごくビックリしたぐらいだ。

この第3寮の連中というのが入学直後から第4寮の事を負け犬負け犬と馬鹿にする本当にいや~な奴ら。

(否が応でも第4寮を応援しちゃうな)

しかし健闘空しく第4寮は僅差で負けた。

負けたと聞いてどれだけ息子ががっかりしただろう。ショックを受けた息子の顔がもう、本当に可哀想。

(これから手術に立ち向かわないといけないというのになんて事!!)


が、ここで話は終わらない。

勝った第3寮のリーダーが言う。

「俺たちの勝ちだ。やっぱり負け犬の第4寮だな。」

うつ向く第4寮。

第3寮のリーダーは続ける。
「だけど、今日は違った。本当に接戦だった。いい試合だった。」そういうとリーダーは観客に向かって手を上げて拍手を促した。そして第4寮のリーダーである主人公に握手を求めたのである。

観客から割れんばかりの拍手が起こった。第4寮の仲間たちはキョロキョロ見回し皆が自分達を認めてくれたことが嬉しくて笑顔になっていった。


(このシーン良かったなあ。この最後のシーンでこの映画の評価ぐっと上がった!正直にいうと途中ちょっと投げ出しそうになった。でも最後まで見て良かった。私も第4寮の仲間になったみたいに嬉しかった!)


病室にいた第4寮の仲間が当時のようにオオー!ってみんなで喜んでるのが胸熱だった。そして息子もすごく嬉しそうだった。息子はこの後手術に向かい無事成功する。


エンドロールで登場人物たちが皆で踊る。その躍りがインド映画特有の躍りというよりは
📺️逃げるは恥だが役に立つ のラストの踊りみたいだった。何か踊り方もすごく逃げ恥っぽかった。あれは絶対真似だと思う。笑🤣


この映画『きっと、またあえる』の原題は
『 छिछोरे (chhichhore) 』

ヒンディー語で、「 軽薄な、お気楽な(人)」という意味である。
「お間抜け」とでも訳そうか。



これとは別に
『きっと、うまくいく』というインド映画があるが、邦題が似ているので続編と間違えそうになるが内容は全く関係がない。

が、『きっと、うまくいく』の原題は
『 3 Idiots』といい、訳すと「3馬鹿」。


実は邦題だけでなく、この2つの映画、原題も似ているのである。雰囲気も少し似ているかな。

そして邦題『きっと、またあえる』を最初に見た時『きっと、うまくいく』の真似して2番煎じな題だなと思ったけど、映画を見終わった今、凄くいい邦題だったなと思いました。

手術は絶対に成功する。
死んだりしない。
「きっと、またあえる」
父のこの言葉、息子にどれだけ力を与えただろう。いい邦題だ。


負け犬と言われようと自分に今出来ることを頑張ればいい。そうすればきっと道は開けてくる。例え失敗してもね。と後押ししてくれてるような気がしました。
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